「VIVANT」「ハヤブサ」「最高の教師」…考察ドラマが流行る“今どきの背景”とは

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「最高の教師」はやはり“運命に抗えない”結末か

 中村倫也(36)が主人公のミステリー作家・三馬太郎役で主演している「ハヤブサ消防団」。この作品の場合、山原浩喜(一ノ瀬ワタル・38)を殺した実行と放火犯とを考察するより、太陽光発電の営業マン・真鍋明光(古川雄大・36)の真の目的とカルト教団「アビゲイル騎士団」がハヤブサ地区に拘る理由を考察したほうが全容解明の近道になりそう。

「最高の教師」は鵜久森叶(芦田愛菜・19)と高所で揉み合いになり、転落死させてしまった人物が焦点。誰なのかは終盤まで分からないのではないかと読む。

 気になるのは鵜久森が転落前、クラスメイトの東風谷葵(當真あみ・16)から好意の告白を受けていたこと。その場面を何者かに隠し撮りされていたら、鵜久森は東風谷のために記録メディアを奪おうとしても不思議ではない。いまだ一部には同性愛への偏見があるからだ。

 主人公の教師・九条里奈(松岡茉優・28)の未来については悲観的な考えが浮かぶ。鵜久森は1周目の人生と同じ2023年10月4日で死んだ。九条も運命に抗えず、2024年3月10日に生徒に殺されるように思う。

 九条を殺す犯人は東風谷であると考察する。思いを寄せていた鵜久森を九条が守れなかったことに憤っての犯行である。九条は最低の教師だった1周目に続き、最高の教師のはずだった2周目の人生でも生きられないのではないか。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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