「VIVANT」「ハヤブサ」「最高の教師」…考察ドラマが流行る“今どきの背景”とは

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考察モノはインタラクティブ

 身近にSNSやオンラインゲームなどがある現代人は、メディアや娯楽に“自分も参加できること”が当たり前と思っていることも、考察モノ流行に関わっている。

 一般のドラマが単方向なのに対し、考察モノはインタラクティブ。観る側は“制作者が提示した謎の答えを推理する”という形でドラマに参加できる。考察モノは出題者と解答者が知恵を競い合うクロスワードパズルと似たところがある。

 物心ついた時からSNSがあった若者にとって、考察モノは特に魅力的。「VIVANT」20日放送回の視聴率はT層(13~19歳の個人視聴率)が5.6%もあった。F1層(20~34歳の女性の個人視聴率)も6.6%に達した。どちらも突出した数字だ。個人全体では3位である「シッコウ!!」ですら、22日放送回はT層が1.3%、F1層が1.1%しかない。

 考察モノのドラマや映画を邪道扱いしたり、考察する行為を見下したりする向きも一部で見受けられるが、考察モノは古くから世界的に認められたジャンル。巨匠アルフレッド・ヒッチコックは考察モノのサスペンス映画を数多く撮り、「レベッカ」(1940年)では米国アカデミー賞最優秀作品賞を得た。

 1990年には考察モノの代表作である米国の大ヒットドラマ「ツイン・ピークス」(ABC)が日本でもブームとなった。また、10年間放送され、このほど完結した同じく米国の人気ドラマ「ブラックリスト」(NBC)も謎が謎を呼ぶ考察サスペンスだ。

 日本にも以前から考察モノがあった。封印された夫婦殺人事件の真相を元警官(三浦友和・71)が突き止めようとするTBS「Nのために」(2014年)などである。しかし、考察内容が複雑化したのはここ約10年。やはりSNSの普及が大きい。

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