「VIVANT」「ハヤブサ」「最高の教師」…考察ドラマが流行る“今どきの背景”とは

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 夏ドラマで話題のTBS「日曜劇場 VIVANT」(日曜午後9時)、テレビ朝日「ハヤブサ消防団」(木曜午後9時)、日本テレビ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(土曜午後10時)の3本には共通点がある。説明するまでもない。いずれも考察モノだ。なぜ、現代人はドラマに考察を求めるのか。

考察モノが流行する理由は?

 8月第3週(同14~20日)のドラマの視聴率を見てみると、「VIVANT」が断トツ。4歳以上がどれくらい観ていたかを表す個人全体は9.3%(世帯14.3%)で、この週のプライム帯(午後7~同11時)の全番組の中でトップだった。

 2位は「ハヤブサ消防団」で個人全体5.1%(世帯8.8%)。3位はテレ朝「シッコウ!!~犬と私と執行官~」で個人全体4.2%(世帯6.8%)、4位はTBS「18/40 ~ふたりなら夢も恋も~」の個人全体3.8%(世帯5.4%)。5位は「最高の教師」の個人全体3.2%(世帯5.7%)とフジテレビ「真夏のシンデレラ」の個人全体が同率(世帯5.4%)。上位に考察モノが並んでいる。そもそも1シーズンに考察モノが3本もあるのは珍しい。

 考察モノは以前からあるが、ここ数年増えている。2021年度下半期のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」も朝ドラとしては極めて異色の考察モノだった。

 作者の藤本有紀氏(55)は登場人物の名前や出てくる物体の形などに次々と意味を持たせ、観る側の意表を突いた。どの場面に藤本氏の意図か潜んでいるのか分からなかった。伏線の意味が分かるたび、観る側の視聴意欲は高まった。

「カムカムエヴリバディ」で視聴者側は、SNSで自らの考察を披露し合った。ドラマが観るだけのものではなくなったことが、あらためて示された。SNSの存在が近年の考察モノ人気の一端を支えていると言って良い。人気が高まったから、おのずと考察モノが増えた。

 連続殺人の真相解明がテーマだった日本テレビ「あなたの番です」(2019年)、殺人事件と愛憎が複雑に絡んだTBS「最愛」(2021年)、平凡なサラリーマンが失踪した妻を捜し求めた日テレ「真犯人フラグ」(2022年)なども考察モノだった。

「真犯人フラグ」は視聴者による真犯人の考察をウェブやX(旧ツイッター)で募集した。同じ日テレの情報番組「スッキリ」(今年3月終了)では考察コーナーまで設けた。考察の商品化と言っていい。

 冬ドラマのヒット作「ブラッシュアップライフ」(日本テレビ)も考察モノ。主人公の近藤麻美(安藤サクラ・37)がタイムリープする理由などを観る側に考えさせた。テレ朝の春ドラマ「unknown」も考察モノで、「犯人考察クイズ」と題したキャンペーンまで実施。どのドラマもやはりSNSでの考察合戦となった。話題性が高まるのだから、ドラマ側としては悪い話ではない。

 記者も考察するためだ。フジテレビ「眠れる森」(1998年)のころからあった傾向だが、目立ってきたのは「あなたの番です」のあたりから。そもそも放送記者の役割の1つはドラマの主題を読み取ることであり、物語の中で明かされていないことを読み取ることと大きくは違わない。その結果、夏ドラマの記事は考察モノの3本が大半を占めていると言っても過言ではない。局側が考察モノをつくりたがるわけだ。

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