認知症に希望の新薬! 診断を受けた家族に「絶対にやってはいけないこと」とは? 臨床の最前線に立つ医師が徹底解説

ドクター新潮 ライフ

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「どの認知症になったか」が大事

 そもそも、厳密にいえば認知症は病名ではありません。アルツハイマー病など原因となる病気があり、それによって認知機能が低下して日常生活に支障が出ている状態を総称して「認知症」と呼んでいるのです。

 この「認知症」という症状にはいくつか類型があり、どの種類の認知症かによって、起こる症状には大きな違いがあります。多くの方は医師から「認知症です」と宣告されただけでショックを受けたり落ち込んだりするのですが、本当は「どの認知症になったか」、つまりその種類が大切なのです。

 例えば、認知症の60~70%を占めるアルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドβやタウタンパクと呼ばれる物質が蓄積することで起こります。アルツハイマー型では、認知機能の低下の中でも、特に「物忘れがひどくなる」といった症状が見られるのが特徴です。

予防できる認知症

 次に割合が多いのは血管性認知症で、全体の20%程度。これは脳出血や脳梗塞、脳卒中といった脳の血管の病気が原因で起こります。この認知症は、認知機能の低下の他に意欲の低下や集中力の低下といった症状が出るのが特徴。脳の血管の病気が原因ですから、糖尿病や高血圧といった生活習慣病がベースにあることが多く、そういう意味では、認知症の中でも珍しい“予防できる認知症”といえます。

 それから全体の4%程度を占めるレビー小体型認知症。これは脳にレビー小体という物質がたまって神経細胞が減ってしまうことで起こる認知症です。レビー小体型認知症はアルツハイマー型などと異なり、記憶や認知機能の低下は比較的軽いまま進行することが多い。その代わり、幻視や睡眠障害、パーキンソン病のような手足の震えなどを伴うことが多いのが特徴です。

 全体の1%程度と割合は少ないのですが、前頭側頭型認知症というものもあります。この認知症では、人格、社会性などをつかさどる脳の前頭葉や、記憶、聴覚、言語などをつかさどる側頭葉に萎縮が見られ、人格が変わったり社会性が欠如したりするのが特徴です。家族に暴力をふるってしまったり、万引きなどの犯罪を起こしてしまったり、身だしなみに無頓着になったり。それから65歳未満の若い世代で発症することも多いのがこの認知症です。

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