アメリカ経済はリセッション(景気後退)入りしない、は本当か
コロナ禍での貯金が今年9月までに底を突く?
ウォール街を中心に「米国経済はリセッション(景気後退)入りしない」との楽観論がコンセンサスになりつつある。米連邦準備理事会(FRB)など政策当局も「今年後半のリセッションはない」と予測していると言われている。
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だが、米国経済はけっして盤石ではない。
米S&Pグローバルは8月23日、8月の米購買担当者景気指数(PMI、速報値)を発表した。総合は前月比1.6ポイント低下の50.4で6カ月ぶりの低水準となり、好不況の節目である50に再び近づいている。これを報じた日本経済新聞(8月24日付)は、金利上昇と根強いインフレのせいで製造業、サービス業ともに景況感が悪化と解説した。
米国の実質総生産(GDP)の7割を占める個人消費にも赤信号が点滅しつつある。
米国の消費者は高インフレの下、新型コロナのパンデミック期に積み上げた2兆ドル(約291兆円)以上の貯蓄を取り崩して支出を続けてきた。だが、今年9月までにその蓄えが底を突くとの見方も出ている(8月20日付ブルームバーグ)。
「今後の個人消費の動向は給与所得次第だ」と言われているが、所得の伸びは2019年のトレンドを下回る水準に鈍化している(8月2日付ブルームバーグ)。
消費を維持するための借り入れも増加している。8月8日に発表されたニューヨーク連銀の四半期報告によれば、米国の家庭における4~6月期のクレジットカード債務残高は1兆310億ドル(約148兆円)と過去最高だった。延滞率も上昇し、支払いが30日以上遅れた割合は7.2%と約11年ぶりの高水準だ。
医療費の借金も膨らんでいる。例えば高金利で審査が甘く、若年層を中心に普及している医療専用クレジットカードローンは、債務残高が最大1400億ドル(約20兆円)という推計がある(7月27日付日本経済新聞)。
米国の7月の小売売上高は前月比0.7%増と市場予想を上回ったものの、内情はお寒い限りだと言わざるを得ない。食料インフレは減速しても、400ドル(約5万8000円)の急な出費を賄える人は減っている(8月4日付ブルームバーグ)。個人消費を牽引してきた富裕層も生活必需品以外の支出を抑制し始めている(7月30日付日本経済新聞)。
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