「スマホがないなら死んだ方がマシ」「小学生で親の看病と姉妹の世話を…」 小中高生の自殺が激増! 背景にスマホ依存か

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「スマホがないなら死んだ方がマシ」

 コロナ禍が引き起こした環境の変化によって、大勢の子供たちがストレスをためた。彼らの一部は精神的に追いつめられて心を病み、また一部はスマホやタブレットを通して2次元の世界に逃げ込み、依存症、いじめ、神経性やせ症といった問題に直面している。

 社会問題への意識の高い学校や子供たちは、こうした現状に危機感を抱き、自分たちなりの解決策を模索している。

 例えば、兵庫県の関西学院高等部にはコロナ禍の最中にICT委員が立ち上げられた。委員となった生徒が自らスマホの使用法やSNSの注意点を学び、それを学校内外で講習会を開くなどして伝えているのだ。生徒が自分たちでスマホ使用のルールを決め、啓発活動を行うことによって、より良い使用法の普及を目指している。

 しかし本稿で見たように、困難を抱えている子供たちは、なかなかそこまで客観的に物事を見つめることができない。あるゲーム依存症の男子中学生にインタビューした時、スマホを手放してみてはどうかと尋ねたことがある。彼は次のように答えた。

「スマホがないなら死んだ方がマシ。だって、それ以外にやっててよかったと思えることが一つもないんだもん」

つらい現実を生き抜くために必要なツール

 これを聞いた時、私は違法ドラッグに手を出したりリストカットをしたりする子供たちが似たようなことを言っていたのを思い出した。彼らにしてみれば、それらはつらい現実を生き抜くために必要なツールなのだ。

 そんな子供たちのために何ができるのか。冒頭で紹介した養護教諭がこんなことを語っていた。

「保健室の予約の7、8割は、子供本人ではなく、親や担任など周りの大人がしてくるんです。子供は自分の心の問題に気が付かないし、それを言語化できません。大人がいち早く気付いてあげなければ事態は悪化してしまうのです」

 ネット・ゲーム依存にせよ、神経性やせ症にせよ、病院に連絡をするのはほとんどが大人だ。まずは大人がしっかりと子供の生活と心に目を留め、状況に応じて外部の機関につなげていくことが必要なのだろう。

(敬称略)

■相談窓口

・日本いのちの電話連盟
電話 0570-783-556(午前10時~午後10時)
https://www.inochinodenwa.org/

・よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)
電話 0120-279-338(24時間対応。岩手県・宮城県・福島県からは末尾が226)
https://www.since2011.net/yorisoi/

・厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」やSNS相談
電話0570-064-556(対応時間は自治体により異なる)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_info.html

・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧)
https://jscp.or.jp/soudan/index.html

石井光太(いしいこうた)
作家。1977年東京都生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒。2005年『物乞う仏陀』でデビュー。『遺体』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』など著書多数。2021年に『こどもホスピスの奇跡』で第20回新潮ドキュメント賞を受賞した。

週刊新潮 2023年8月17・24日号掲載

短期集中連載 「コロナ・チルドレン 第1回『スマホ依存』が子どもの心を殺す」より

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