「スマホがないなら死んだ方がマシ」「小学生で親の看病と姉妹の世話を…」 小中高生の自殺が激増! 背景にスマホ依存か

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他の精神疾患より高い死亡率

 これに加えてコロナ禍で普及した動画サイトでは、チューブなどの道具を使用して嘔吐する方法が紹介されたり、糖尿病の薬や海外から個人輸入された薬がダイエットに効果があるという情報が広まったりしている。いずれも生命の危険すらある方法だが、それが動画サイトを通じて小中学生にまで伝わっているのだ。こうしたことが神経性やせ症の増加や若年化を引き起こしている可能性が強い。

 ちなみに、神経性やせ症の死亡率は他の精神疾患と比べて高く、最終的に、栄養失調による衰弱死、不整脈による突然死、自殺などで死亡するケースも多い。そうした本当に知らなければならないリスク面の情報は、若者が触れるSNSや動画にはほとんど見当たらない。

 河合によれば、この神経性やせ症は先述のネット・ゲーム依存と根本は同じものとして捉えるべきだという。

「神経性やせ症も依存症の一つと見なせます。子供は家庭や学校でうまくいかなくなると、自己評価が低下します。自分は他人よりも劣っていてダメな人間なんだと考えるようになる。その時、彼らがそんな現実から目を背けるためにゲームに逃げればゲーム依存症になりますが、やせた姿をSNSにアップして自己評価を高めようと考えれば神経性やせ症につながる。つまり、彼らの根幹部分にある問題は同じだと考えられるのです。やせへの依存は、栄養失調に結びつくため、より危険です」

「私なんて太っている方」

 河合が責任者を務める相談ほっとラインの電話は、2023年に入っても一日中鳴りっぱなしの状態だという。事態の深刻さを物語るのは、当事者からの連絡は31%に過ぎないという点だ(親が56%、行政や学校、その他が13%)。神経性やせ症の患者は、自分がやせ過ぎだという自覚が乏しい。彼女たちにしてみれば、自分はやっとやせてきれいになったわけで、人に言われる筋合いはないと考えてしまうのだろう。

 今回の取材で著者が出会った、神経性やせ症の女子中学生がいる。彼女は身長が160センチ台前半で、体重が37キロだった。彼女はこう言い切った。

「SNSを見れば、私なんて太っている方だし、ぜんぜんかわいくない方で、コンプレックスとか半端ないです。周り(の人が心配していること)とかはどうでもいいです。だって、あの人たちに見てもらいたくてダイエットしてるわけじゃないし」

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