「スマホがないなら死んだ方がマシ」「小学生で親の看病と姉妹の世話を…」 小中高生の自殺が激増! 背景にスマホ依存か
スクリーンタイムの増加
現場の教師たちによれば、ストレスを抱える子供たちの間で深刻になっているのが、スクリーンタイムの増加の問題だという。スクリーンタイムとは、スマホやタブレットを操作している時間を示す。
2020年秋に、前出の「コロナ×こども本部」は、保護者にコロナ禍の前と比べた子供のスクリーンタイムの変化を尋ねた。すると、全体の41%に当たる保護者が、「1、2時間増えた」「2時間以上増えた」と答えたのである。
スクリーンタイム増加の問題はかねて指摘されていたことだが、増加した子とそうでない子とでは何が違うのか。子供のネット事情に詳しい竹内和雄(兵庫県立大学教授)は次のように語る。
「ストレスのない子より、学校や家庭でストレスがたまっている子の方がネットにのめり込みやすいと思います。学校に合わない子供は、昔ならヤンキーになって非行グループに入っていましたが、今はネットやゲームに自分の居場所を求めるようになっています。つらい現実から逃れる方法が、非行からネットに移りつつあります」
どんな子供がネット・ゲーム依存に陥る?
同じことを、ネット・ゲーム依存の専門家たちも口をそろえて言う。
現実世界で満足できている子供は、普段から生きがいを得られているので、ネットやゲームを利用するのは息抜きとして、だ。ところが、現実世界にストレスを抱えている子供は、そのつらさから逃避するためにスマホなどを介して2次元の世界にのめり込む。現実世界ではなく、仮想世界の方に居場所を見いだすのだ。
竹内によれば、往々にしてそんな子供たちがネット・ゲーム依存に陥る。男子は主にゲーム、女子は主にSNSに没入する傾向がある。彼らはオンライン上の仲間から一目置かれることで、そこが自分の居場所だと思い込む。その結果、多額の課金をしたり、昼夜が逆転して日常生活を営めなくなったり、体に不具合が生じたりする。
依存症にまで至らなくても、スクリーンタイムの増加は今の子供たちにさまざまな悪影響をもたらしている。典型的なのが目の病気や視力の低下だろう。眼科医で『スマホ失明』の著者でもある川本晃司は言う。
「スマホの使用で目にかかる負担は年々深刻になっていて、象徴的なのがドライアイです。子供は身体的な特性からドライアイになりにくく、10年前は学会で報告されることすらまれでした。しかし、スマホの普及が若年化したことから、町の開業医でも子供のドライアイに出くわすことは珍しくなくなっています」
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