「スマホがないなら死んだ方がマシ」「小学生で親の看病と姉妹の世話を…」 小中高生の自殺が激増! 背景にスマホ依存か

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発達障害の妹の世話、母親の看病…

 当初、母親は1カ月もすれば回復すると言っていたが、日がたつにつれて病状は悪化し、ベッドから起き上がれない日もあった。このため長女は母親に代わって家のことをすべてやらなければならなくなった。家事だけでなく、発達障害の次女の世話、三女の保育園の送り迎え、さらには母親の看病まで、寝る間もないほど多忙を極めた。

 2021年の春、少女はパタリと学校に行かなくなった。張りつめていた何かが切れてしまったのだろう。だが、学校側は彼女の身に起きていることを把握していなかった。母親と連絡がつかない上に、コロナ禍の対応に追われ、しっかりと向き合う余裕がなかったのだ。

児童虐待でもDVでもない深刻な問題

 事態が発覚したのは、さらに半年がたってからだった。九州の実家から様子を見に来た祖母が、少女が介護や家事のストレスからリストカットをしているところを見つけ、学校に連絡をした。そこで初めて担任とスクールカウンセラーが対応したが、事態が深刻だったため役所にも相談し、ヤングケアラーのケースとして支援することになった。

 この家で起きていたのはDVでもなければ、児童虐待でもない。だが、親が心を病んだことは、長女にそれらに匹敵するくらいの生活の変化と精神的なダメージをもたらしたのだ。

 先の男性教師は次のように語っていた。

「コロナ禍は終わりつつありますが、一度変わった家庭環境はなかなか元に戻りません。親が心を病めば何年も闘病しなければならなくなりますし、リストラに遭った人が前の生活レベルを維持できるような新しい職を見つけるのは簡単ではありません。物価高の影響もあって副業をする親は増えていると思います。ですから、こうした状況はコロナ禍だけではなく、この先も続いていくものだと考えるべきです」

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