「スマホがないなら死んだ方がマシ」「小学生で親の看病と姉妹の世話を…」 小中高生の自殺が激増! 背景にスマホ依存か
親のいら立ちが子供へ
厚生労働省が自殺増加の一因として挙げているのが、コロナ禍による子供を取り巻く環境の変化だ。
新型コロナの感染が拡大した当初から、それが子供たちに深刻な影響を及ぼすのではないかという懸念の声が出ていた。
事実、多くの家庭がコロナ禍によって苦境に追い込まれた。飲食業などに従事する親たちは経済的な窮地に立たされ、在宅ワークやステイホームを余儀なくされた家族は親子が狭い空間に長時間閉じ込められることになった。これによって、精神的に追いつめられた親のいら立ちが子供に向けられる、密室で暴力がエスカレートするといったことが起き、逃げ場を失った子供が大きなストレスを抱えた。
このような家庭環境の悪化は、統計からも明確に読み取れる。2022年に警察が受理したDV相談件数は過去最多の8万4496件、2021年度に児童相談所が対応した虐待相談件数も過去最多の20万7659件(速報値)となっている。これは、社会のしわ寄せが家庭で弱い立場にある者にきていることを示している。
コロナ禍でヤングケアラーになった小学生
先の養護教諭は言う。
「メディアが取り上げる子供の問題はDVや虐待など重たいケースばかりですが、現場の感覚では統計に表れないことも切実な気がします。たとえば、親が毎日アルコールを飲むようになって家の空気が悪くなったとか、親がダブルワークを始めたせいで子供が家事をしなければならなくなったとかいったことです。大好きだった習い事をやめさせられて生きる意味が分からなくなったという子もいます。親の日常のちょっとした変化が、子供にとっては大きな災いとなっているのです」
別の男性教師は、コロナ禍でヤングケアラーになった都内在住の小学5年生の少女の例を挙げる。
その少女は3人姉妹の長女として育った。発達障害のある次女は小2、三女は保育園の年中だった。母親は2年前に夫と離婚。朝から晩まで、飲食店の仕事を掛け持ちして娘たちを育てていた。
コロナ禍になって間もなく、飲食店が休業に追い込まれ、母親は仕事を失った。しばらくフードデリバリーのアルバイトをしていたが、慣れない肉体労働で体を壊したのをきっかけに心を病んでしまった。
収入が途絶えた母親は役所に相談に行ったが、離婚時に夫からマンションをもらっていたため、生活保護を受けることができなかった。やむなく、九州にある実家から毎月生活費を送ってもらうことになった。
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