「障害」「セクシズム」「差別」問題から逃げず、忖度せず… 角田光代が語る、韓国ドラマのすごみ「感動してしまうほどの情熱」
1日2話までという自分ルール
韓国映画を数多く観ていた私が韓国ドラマにもハマったきっかけは、コロナ禍で話題になった「愛の不時着」。さきほど数えてみたところ、この3年で34タイトルもの韓国ドラマを観ていました。ついつい観過ぎてしまうので、1日に2話までと決めています。
韓国ドラマの中では、「ザ・グローリー~輝かしき復讐~」という作品もすごかった。いじめられた主人公の復讐劇で、勧善懲悪という描き古されたテーマながら、いじめが人から何を奪うのかということをきちんと描いています。いじめっ子のボスが女の子で、その悪役っぷりが本当にすごい。
「私たちのブルース」もいい。済州島を舞台にした群像劇で、登場人物それぞれの「知られざる事情」を丁寧に描いています。
感動してしまうほどの情熱
ちなみに、私の小説『紙の月』が今年、韓国でドラマになりました。実は数年前から映画化したい、との連絡をいただいていて、キャストが決まったりするたびにメールが来ていました。ところがキャストが何かの事情で出演を断ったとか、監督が替わることになったとか、そういった連絡がずっと続いていて、最終的に映画は難しそうだからドラマにします、と。もう何年にもわたってお一人の方が映像化のために力を尽くして下さって、私としてはもうボツになってもいいよと思っていたんですが……結局、無事にドラマになりました。彼らは本当に作品制作への情熱がすごい。それはもう感動してしまうほどでした。
[2/2ページ]