阪神・岡田監督は巨人戦での胴上げを嫌がっている…ヤクルト戦をのぞむ根拠は

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「巨人戦で胴上げを」

 2位広島が敗れ、阪神タイガースの優勝へのマジックナンバーが「23」まで減った。高校球児に本拠地・甲子園球場を明け渡す「夏の長期ロード」も最後の巨人3連戦を残して、16勝4敗。途中、10連勝を記録するなど破竹の勢いである。

「今季、ここまでの巨人との対戦成績は12勝4敗1分け。岡田彰布監督(65)は長期ロード前、『勝率5割前後で』と言っていたんですが、それもいい意味で外れました。胴上げされる日も早まるかもしれません」(在阪メディア関係者)

 8月24日、岡田監督は若手中心の指名練習を見守っていた。翌25日からの巨人3連戦について聞かれると、

「もう(お互いに)頑張りましょうとは言わんやろ。明日(25日)は楽しみやな、(原辰徳監督=65が)なんて言うか」

 と、口元を緩めた。

 12勝4敗と圧倒していることを念頭に置いての軽口だが、チーム関係者たちによれば、「優勝」が決まるタイミングに関しては、ちょっと神経質になっているという。

「あくまでも計算上ですが、マジックナンバーが消滅するのは9月中旬でしょう。となれば、理想は9月12日からの巨人3連戦か、20、21日の同じく巨人戦なんですが。ともに舞台は甲子園球場です」(チーム関係者)

「巨人戦で胴上げを」の声は多く聞かれた。2008年、最大13ゲーム差をひっくり返された屈辱があるからだ。実現すれば、虎ファンもニンマリだろう。しかし、岡田監督の理想の胴上げ舞台は別にあるそうだ。

「巨人2連戦の次、9月22日からの神宮球場でのヤクルト2連戦のほうがいいと話していました」(前出・同)

05年の悪夢と08年の黒歴史

「神宮胴上げ」は、日本一になった1985年と同じだからだ。ゲン担ぎもあるのだろう。また、岡田監督には一時、2位に13ゲーム差もつけながら優勝を逃した08年の悪夢同様、払拭してしまいたい“黒歴史”もあるという。05年の日本シリーズだ。千葉ロッテと対戦したその年、阪神は4試合で33点を奪われ、ストレート負け。打線はたったの4点しか挙げることができなかった。

「05年の胴上げは甲子園での巨人戦でした」(前出・同)

 岡田監督にとって、巨人戦での胴上げは縁起が悪いようだ。

 08年の逆転負けの悲劇、05年の屈辱的な大敗――。ちなみに、05年の日本シリーズでの「3試合連続2ケタ得点」は史上初、阪神のシリーズトータルで挙げた4得点と「本塁打ゼロ」、チーム防御率8.63はワースト記録である。岡田監督は05年と08年の両方を完全払拭したいわけだが、こんな指摘も聞かれた。

「第1次岡田政権(2004~08)といえば、真っ先に浮かぶのがJFK。ジェフ・ウィリアムス(J=51/現駐米スカウト)、藤川球児(F=43/特別補佐)、久保田智之(K=42/現コーチ)の3人体制が構築されたのも05年でした。ただ、同年、藤川が80試合、ウィリアムスが75試合、久保田が68試合に登板しています。彼らの強靭な体力とスタミナによるもので、実際に登板しない日でも、彼らがブルペンで投球練習を開始するだけで相手チームに脅威を与えてくれました」(べテラン記者)

 それに対し、05年の千葉ロッテはボビー・バレンタイン監督(73)によるMLB式のブルペン革命が進められていた。同年のパ・リーグセーブ王の小林雅英(49)を筆頭に、薮田安彦(50)、藤田宗一(50)で同じく3人制を敷いていたが、ブルペンではほとんど投げ込みはせず、ストレッチや柔軟運動などで体を温めていた。

「登板予定のないリリーバーには投球練習をしなくても良いと伝達されていました。投げ込み量の少なさに阪神サイドは驚いていました。しかも、打線は先発投手に応じて代えていく日替わり状態。レギュラーを決めて、中心選手が不振なら打順を落とすようなことはしない岡田野球とは対照的でした」(前出・関係者)

 岡田監督にすれば、自身が構築してきた投手継投策を否定されたような思いにも駆られたのではないだろうか。「05年のシリーズ大敗のほうを強く覚えている」との情報も聞かれた。ライバルの原監督に見せ付けるよりも日本一になった神宮での胴上げを熱望する理由はこのあたりにもありそうだ。

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