夏の甲子園の裏で…「プロ対アマ」「名門大学対地方大学」の熾烈な“選手争奪戦”が起きていた!

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東京六大学の「名門校」が、「地方の大学」に後れを取ることも

 前述した吉田輝星の出身校である金足農も秋田県内では実力がある学校だが、全国的には実績があったわけではなく、吉田が進学を予定していた大学は、地方大学だったと言われている。このように、有望な高校生を巡り、プロとアマによる “争奪戦”が裏では行われているのだ。

 こうした“争奪戦”は、強豪校の大学間でも激しさを増している。東京六大学や東都大学の両リーグに所属するいわゆる「名門校」と言われる大学が、地方の大学に後れをとるケースがあるという。そこに大きく関係してくるのは“待遇面”だ。

「最近は地方出身の選手がそのまま地元に残るケースや、さらに地元から遠い地方の大学を選択する例も増えています。うちは“プロ待ち”もOKですが、それだけでは(選手の争奪戦には)勝てません。学費以外の待遇面、例えば遠征費や用具にかかる費用の面などで好条件を出す地方大学が、多くなっているということだと思います。家庭の事情で、そこまで大学にお金をかけられないという選手も増えているのではないでしょうか。大学側は野球をするうえで必要な資金を負担しても、力のある選手を獲得したい。それでチームが(全国大会などで)結果を残せば、多くの部員が集まるようになる。そうやって野球部の貢献によって(大学経営が)成り立っている大学も多いと思いますね」(関東の大学関係者)

 有望選手を巡る「プロ対アマ」「名門大学対地方大学」の熾烈な争奪戦……。夏の甲子園で活躍した選手は、どんな進路を選ぶのか、これからも注目していきたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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