中日・大島洋平が偉業達成 「史上最年長」に「過去最低打率」も…“2000本安打”珍エピソードを持つ達成者を振り返る!

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史上最年少記録更新が幻に

 52年ぶりの通算2000安打の史上最年少記録更新を期待されながら、コロナ禍の“とばっちり”で幻と消えたのが、巨人・坂本勇人である。

 19年シーズン終了時点で通算1884安打、大台まであと「116」と迫っていた坂本は、20年のシーズン開幕後、7月29日までに目標をクリアすれば、1968年の東京・榎本喜八の31歳7ヵ月16日を抜いて、歴代最年少になるはずだった。坂本は2019年にはチーム92試合目の7月30日にシーズン116安打目を記録しており、状況的にも、記録更新はけっして不可能ではなかった。

 ところが、2020年の年明け以降、世界中をパンデミックに巻き込んだ新型コロナウイルスの感染拡大により、当初3月20日に予定されていたシーズン開幕が約3ヵ月後の6月19日まで遅れた結果、この時点で、史上最年少記録は事実上不可能となった。

 それでも坂本は「いろんな方々に感謝の気持ちを持ってシーズンを戦っていきます。一人ひとりがしっかりと役割を果たし、優勝できるように頑張っていきます」と気持ちを切り替えてシーズンに臨んだ。

 そして、チームのV2決定後の11月8日のヤクルト戦、1回2死、スアレスから左翼線二塁打を放ち、史上53人目の快挙を達成した。

「朝起きてから、食欲もなくて、久々に震えるくらい緊張していた。今日打てなかったらカッコ悪いなと。1打席目に決められてホッとした」(坂本)

 プレッシャーから解放された坂本は、3回の2打席目に2ランを放つなど、猛打賞も記録し、記録を「2002」まで伸ばした。31歳10ヵ月での達成は、榎本に次ぐ歴代2位ながら、右打者では土井正博(近鉄→西武)の33歳6ヵ月を抜いて、史上最年少となった。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

デイリー新潮編集部

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