「得意料理はきんぴら。飯を作ることが精神の安定にもつながる」 主演作が途切れない82歳「藤竜也」が語る仕事と人生

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三浦友和に「ナルシスト」と言われた理由

 今年初めに筆者が取材に立ち会った三浦友和は、今後出演したい作品について「『黄金のパートナー』(1979)の続編をどなたか企画してほしい。今の藤さんとぜひまた共演したい」と語った。同作は三浦、藤の初共演作であり、紺野美沙子のデビュー作でもある。

「三浦さんにそういっていただけるのは、本当にうれしいですね。実はその撮影で初めてサイパンに行ったんです。もしかしたら正装が必要なときもあるかと思って、タキシードを用意していたんですが、暑すぎて着る機会がまるでない。でもせっかく持ってきたからと、三浦さんと紺野さんを僕の部屋での食事にお誘いして、そのときに着ました。すると二人とも驚いてね。後に三浦さんが『あんなナルシストな人、見たことがない』って話していて(笑)。もったいないから着ただけなんだけどね」

「高野豆腐店の春」で辰雄の娘を演じた麻生久美子も、デビューから間もない1997年に出演した藤の主演作「猫の息子」以来、26年ぶりの再共演だった。麻生も藤との共演を喜び、そのかっこよさを絶賛している。

「ありがたいです。麻生さんとは相性というか、ケミストリーがよかったんでしょうね。麻生さんのおかげで私も引きずられて、『辰雄さん』が形になったところもあります」

 監督だけでなく共演者からも「また一緒に仕事をしたい」と熱望される藤の存在感は、俳優生活60年目を迎えてもなお、輝きを増している。

岡崎優子

デイリー新潮編集部

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