「得意料理はきんぴら。飯を作ることが精神の安定にもつながる」 主演作が途切れない82歳「藤竜也」が語る仕事と人生
酒は毎日350mlのビール缶を5本ほど
「高野豆腐店の春」には、格闘シーンや街中を走るシーンがある。80代にしてはかなりハードな役回りかもしれないが、往年のファンにとっては非常に頼もしく見えるだろう。藤は身体を鍛える俳優の先駆者とも言われている。
「日活のニュー・アクション時代に取った杵柄でね。僕自身、懐かしい気がしています。昔出演していた刑事ドラマでも、走って車を追いかけていましたから(笑)。若い時分は順風満帆だったわけじゃなく、いろんな紆余曲折がありました。その間に支えてくれたのは、体を使うこと。体を鍛える中でエネルギーを発散し、鬱屈した想いを汗と一緒に流していました。今でも定期的に、運動というほどではありませんが公園を歩いたり、ベンチを使って腕立て伏せをしたり、階段があれば意識的に昇ったりしています」
「高野豆腐店の春」では、娘と作りたての豆乳を飲むシーンも印象的だ。藤自身も食の面から健康を意識しているのだろうか。
「体を気遣うというか、今は飯づくりが趣味で。毎日2食の献立を楽しみながら、野菜をたくさん取り入れるなど、バランスに気を付けながら考えています 。飯を作ることが精神の安定にもつながる。それが健康の秘訣かも知れないですね」
得意料理は煮物。また、きんぴら には自信があるという。
「このくらいの出汁と材料だったら味が決まると、調味料の分量は大体掴んでいます。ちょっと舐めただけで、その塩梅が分かるからね(笑)」
最近は低温調理器を購入し、ベーコンやハム作りを始めた。
「先日はポークソテーを作りました。3センチ くらいの豚肉を、低温調理器に2時間くらいおき、フライパンでさっと焼き色をつける。すると中がジューシーで柔らかくなる」
お酒は毎日350mlのビール缶を5本ほど。「最近5缶だと効きすぎるから、4缶にしようかなと思っているところ」だと笑う。
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