レジェンド作詞家「売野雅勇」が、ミスチル「桜井和寿」の“愛車と出身地”を知りたがった深すぎる理由

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「桜井君はどんな車に乗っていますか。出身地はどこですか」

――ミスチルで作詞作曲、ボーカルを担当している桜井和寿は、売野さんより19歳年下で当時24歳ですね。売野さんにそのような影響を与えていたとは。

売野氏:それで何をやったかというと、詞そのものと、詞を書いた桜井君についての分析してみました。歌詞を精読し、ずっと歌を聴いていました。すると歌声に鼻濁音が目立つことに気がついた。鼻濁音の特徴から、秋田、山形だなと見当を付けた。当時のマネージャーがミスチルを発掘した稲葉貢一さんを知っていたので、聞いてもらいました。「桜井君はどんな車に乗っていますか。出身地はどこですか」と。

――車ですか? 車を知りたかったのはなぜですか? なお稲葉さんはミスチルが所属する「トイズファクトリー」の社長ですね。

売野氏:車の選択にはその人が向かう方向が表れるからね。それに日常の一部になるから、気が付かないうちに、ボディブローのようにじわじわと影響を受けるんです。付き合っている彼女から影響を受けるように。

――当時、桜井さんが乗っていた車はわかったんですか?

売野氏:フォルクスワーゲン・ゴルフのワゴン。質実で超実用的な車です。僕はそれまで趣味性の高い、クラシカルな1972年製のメルセデスと、もう一台、メルセデスのスポーツカーに乗っていました。車が好きだから、選び抜いた2台でした。だけどその機会に2台とも売りました。ただね、ゴルフのワゴンはあまりに遊びがないし、車に趣味性と感覚的なものを求めてきた者としてどうしても選び切れなかったので、実用車ということでボルボのステーションワゴンを新車で買いました。新車を買ったのは後にも先にもこの一台のみです。

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