Netflix並みの製作費は伊達じゃなかった…「VIVANT」が“テレビ離れが進む若者”に人気の秘密
考察が若者を惹き付ける
若者も惹き付ける、もう1つの理由は考察だ。SNS、ゲーム、ネットサーフィン、ビデオ・オン・デマンド(VOD)と、自分が能動的になる行為に慣れ親しんでいる若者には、既存の国内ドラマの“一方通行性”が耐えられないはず。
その点、このドラマは謎が数珠つなぎになっているから、考察という形でドラマに参加できる。自分の考察をSNSで発表している若者もいる。
6話でも新たな謎が浮上した。憂助の父親でテントのリーダーであるノゴーン・ベキは、活動資金を横領したメンバーに制裁を加えた後、こう言った。
「我々の資金が何のために集められているのか、どうして理解できないのか」(ノゴーン・ベキ)
観ている側も分からない。1年間に集められた金は5億9780万ドル(約836億9200万円)もある。アリ・カーンによると、テロの最終的な標的は日本だというが、こんな大金を何に使おうとしているのか。
6話では天才ハッカーの「ブルーウォーカー」こと太田梨歩(飯沼愛・20)が、アリから憂助に手渡されたテントの通信暗号キーを解読した。それを見た憂助と別班の後輩・黒須駿(松坂桃李・34)は顔色を変えた。何が書かれていたのか。
直後、憂助は表向きの姿である丸菱商事社員として、経済産業省の外局である資源エネルギー庁(エネ庁)の公共事業の入札に参加した。落札したのは丸菱をはじめ、別班メンバー5人の勤務先ばかり。入札の司会を務めたエネ庁の担当者・高田(市川笑三郎・53)も別班の一員だったから、最低落札価格を5人に漏らしていたのだろう。
高田も含めたメンバー6人を前にした別班の幹部・櫻井里美(キムラ緑子・61)は「(集まってもらったのは)国家の危機を未然に防ぐためです」と告げた。
危機をもたらしそうな相手はテントか。別班はどんな事業を落札し、何をしようとしているのだろう。物語は中盤に入っているが、謎だらけである。