「86歳で完済のめどが」 かつみ・さゆりが語った“12億円の借金”と副業失敗列伝 「ラーメン屋でメロンパンを売ったら臭いが…」「飼育したカブトムシはバルサンで全滅」
コンビ解散の直後、思いもしない事件が
かつみ それだけの借金背負っても、3億円稼いだ実績がありましたから、何とかなるとは思ってたんです。亡くなった吉本の林(裕章)会長からも、「かつみー、お前借金抱えてるらしいけど、死ぬなよ。飛ぶなよ。逃げるなよ。お前やったら返せる。なんかあったらワシに言うてこい」て言ってもらってましたから。
でも「返済のためにバリバリ働くでー」と思ってた矢先の1999年、「どんきほ~て」の相方が“家業を継ぐから”とコンビの解散が決定。さらにその直後、思いもしない事件が起こるんです。
僕は京都の大資産家の3番目の愛人の子どもやったんですけど、その父親が死んでから数年たって、一通の封筒が送られてきた。開けたら中から10億円がどうたらこうたらと書かれた紙が出てきまして。父親には生前5回くらいしか会ったことがなくて資金援助も一切ありませんでしたけど、あぁ最後はカネ残してくれたんやと思って。
さらに10億円の借金が…
さゆり かつみさんは飛び上がって喜んでましたけど、読み進めたら「○月○日までに振り込んでください」と書いてある。要はお父さんが残した10億円の負債がかつみさんのところに回ってきたんです。最初はどっきりカメラやと思って、かつみさんも必死にリアクション取ってましたけど、誰も出てこない。「ここから10億円さらに背負うんか」と、さすがのかつみさんも弱気になってましたね。
かつみ 金利も入れたら〆て12億円超ですからね。これはさすがにヤバいと思って、林会長に会いに行ったんです。事務所前で車降りた会長を捕まえて「12億の借金背負うことになりました」「何とかしてください」と言うたら「おーそうか。ほな!」と、そのまま立ち去ろうとする。聞こえてはらへんのかなと思うて「違(ちゃ)いますやん! 12億円借金!」と何度繰り返しても「おー、お前なら返せる」で話にならん。でも、10分間くらいそんなやり取りが続いた後に「ほな弁護士紹介したるわ」って吉本の顧問弁護士を紹介していただいて。その先生に相続放棄の手続きを取ってもらい、事なきを得たんです。
ポリバケツ700個を誤発注
さゆり あの頃、かつみさんは「自己破産したら誰も笑ってくれなくなる」「絶対に自分で返しきるんや」って昼は本業、夜はスナックと本当に寝ないで働いていた。バブルの頃の借金やから金利もすごくて、もうげっそり痩せるまで24時間頑張ってたんです。そこに10億円乗っかったんですから、私も「さすがに自己破産しかないか」と落ち込みました。でも、もうあかんと思ったところで相続放棄ができると分かって10億円が消えた。残った2億円は前の2億円と変わってないんですけど、気持ちは全然一緒じゃない。「なんかいけるんちゃうか」って。
かつみ 返済のために副業も山ほどやりましたよ。オオクワガタの飼育に100円ショップの経営、ラーメン屋……。オオクワガタは雄雌1ペアが1万円で売れるところに目を付けたけど、さゆりちゃんが飼育部屋を飛び回るコバエ退治のためにバルサンたいて、それで全滅。100円ショップはまだ「100均」がブームになる前で先見の明があったけど、店番を任せたうちのオカンが商品を発注する機械の「0」のボタンと「00」のボタンを間違えて、ポリバケツ700個を誤発注。バケツの専門店みたいになって、3カ月で閉店しました。
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