「保科さんの表情を見れば売れるかどうか分かる」 夢グループ社長が明かす“相棒”の「意外な任務」とは?

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ギャラも明朗会計

 この手法は次第に評判を呼び、僕の元にはさまざまな往年のスターがやってくるようになりました。どの方も有名なヒット曲はあるのですが、単独ではステージが持たない。でも、そんなスターも大勢いれば十分興行になるのではないか。そうして始めたのが「夢コンサート」です。出演者が多い分、個別のギャラは安くなりますが、ステージ数を多くすることでそれを埋め合わせることができます。

 もちろん歌手たちに支払うギャラも明朗会計。「大御所だから」などという理由で差はつけず、全員一律です。コンサートは座席数も決まっていますし、ギャラや会場代など原価もはっきりしています。従って、需要と供給のバランスに合わせて価格を変動させれば売り上げを立てることは難しくありません。そうしてみると、商売のやり方は通販も芸能も変わらないんです。

「売れるかどうかは保科さんの表情を見ればわかる」

 実は通販のCMに出演してもらっている保科有里さんも所属歌手の一人。「石田の愛人?」などいろんな評判が立った彼女のおかげで夢グループの認知度も上がりましたが、彼女には「マーケティング」という重要な役割もあるんです。

 通販のCMは私が台本を書いて、撮影も自社で行っています。保科さんには撮影時に初めて商品を見せ、「気に入ったものは自由に持って帰って」と言っているんです。でも、中には保科さんがタダでも置いて帰る商品がある。そういうものはよほど魅力がないのでしょうから、すぐに販売を取りやめることもあります。

 私にとってその商品が売れるかどうかは、CM撮影での保科さんの表情を見ていれば分かるんです。保科さんは、そんな重要任務があるなんて想像もしていないと思いますが、僕にとってはどんな社員やお客さんより怖い存在。それが保科さんなんですよ。

石田重廣
夢グループ社長。1958年生まれ。20代で小さな広告会社を起業し、30代で輸入・通販会社「ユーコー」を設立。2003年に芸能事務所「あずさ2号」で芸能事業に進出。その後、社名を「夢グループ」に変更し、通販と芸能をメインに年商200億円を超える企業へと成長させた。

週刊新潮 2023年8月17・24日号掲載

特別読物「地獄の淵を這って…私の『借金苦』物語」より

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