「国会議員の“バカンス”に4億円の税金が」「VIPルームに観劇チケットまで…」 驚くべき「アテンド」の内容とは?
文字通りの“上級国民”
外務省は念の入ったことに、便宜供与の対象者を七つに区分しているという。
「最上位が『AA』で、これは皇族や総理、閣僚、衆参両院議長など。続く『BB』は両院副議長や閣僚経験者、公党の党首が含まれます。国会議員は上から3番目の『CC』という区分ながら、宿泊先の予約や確保から空港送迎、車の手配、通訳までじつにさまざまな便宜を受けられます。一方、例えば地方公務員や国際機関の邦人職員は下から2番目の『DD』に位置付けられ、空港送迎、車の手配、通訳などのサービスは受けられません」
そして一般の民間人。こちらは「TT」という、七つの区分の最下位で、
「在外公館からは、基本的に一切の便宜を受けることができません」
国会議員やその家族らは、これぞ文字通りの“上級国民”というわけなのだ。
96名を超える議員がバカンスに
とまれ、こうした在外公館による手厚い取り計らいをあてこんで、今夏も永田町のセンセイ方はバカンスへと飛び立った。政府派遣、党派遣を除く、衆参両院の派遣に限ってもその数、実に96を数える。行き先は一見、欧州、北米、東南アジアとさまざまだが、
「外遊先で一番人気がある行先は、やはりヨーロッパですね」
とは、政治アナリストの伊藤惇夫氏だ。理由は説明の必要もあるまい。「議会外交一班」というのがある。「政治経済事情等調査」と称してはいるが、観光以外にさして用向きもなさそうなモナコに“パンツ高木”の異名を取る自民党の高木毅国対委員長や緊急事態宣言下に銀座で豪遊していた“銀座3兄弟”の田野瀬太道議員らが足を延ばしているのがいい例だ。
「得られるものなどない」
伊藤氏が続ける。
「私が民主党の事務局長などとして永田町にいた頃も、夏が近づくと議員が集まり、今年はどこの国に行くかを話し合って、その後に理由付けを考えていましたね。でも、そういう外遊はほとんど意味がありません。たとえばフランスならば、夏はバカンスシーズンですよ。“公用”で訪ねたところで関係者とアポは取りづらく、得られるものなどない」
かつて日本テレビに在籍した政治ジャーナリストの青山和弘氏もこう語る。
「その昔、女性による“接待”を在外公館の職員に要望する議員もいたそうです。しかし最近は、議員や同行する配偶者の買い物ツアーのアテンドや、高級レストランの手配がもっぱら職員の負担になっていると耳にします。私が支局長を務めた米国ワシントンの日本大使館には“バッグならこの店、靴ならあの店、和食ならここで、中華ならあそこ”などといった具合にリストが用意されていました」
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