夏の甲子園優勝 慶応高の実態は「お金持ちの野球エリート」 特待生制度がなく、「3年間300万円超」の“高額学費”で進学を諦める有望選手も
ベンチ入りしているメンバーの多くは「推薦」
では、彼らのような“野球エリート”がなぜ偏差値が非常に高い慶応高に入学できるのだろうか。その理由は入試方法にある。
慶応高に入学するには、小学校(幼稚舎)や中学校(中等部、普通部)から内部進学するパターン以外に、「一般受験」、「帰国生」、「推薦」の3つの方法がある。野球部でベンチ入りしているメンバーの多くは「推薦」だ。
推薦の基準は、中学の内申点で45点満点中38点以上となっており、それ以外はスポーツなど優れた実績があれば、入試は作文と面接のみ。もちろん、単純比較はできないが、学力という面で限れば、一般受験に比べるとハードルが低いといえる。
そして、もうひとつの“誤解”が、選手のスカウティングだ。「慶応」というブランド力があるから、野球も勉強もできる選手が進学先に選んでくれる、という側面はあると思われるが、それだけで、本当に実力のある選手が勝手に集まってくるわけではない。
中学のクラブチームの指導者は、こう話す。
「慶応高は、出身者によって全国にネットワークがありますから、野球が上手くて、中学の成績も優秀な選手には、かなり積極的にアプローチしていますね。本人はもちろん、保護者にとっても、そのまま(エスカレーターで)慶応大に行けるというのは大きな魅力ですから……。内申点が少し足りないようなケースは、(野球で入学できるように)下級生のうちから、(親が)家庭教師をつけてクリアさせたという話も聞きます。他の強豪高校の監督などは、『野球が上手くて勉強もできる子は慶応高に行ってしまうので、少し内申点が低いくらいの方がありがたい』という本音を漏らす方もいますね」
両親が医師で、中学時代の学業が優秀だった、岐阜出身の根尾昂(大阪桐蔭→中日)も慶応高が熱心に誘っていたと言われている。今年のチームにも、愛知出身者が2人、栃木出身者3人、千葉出身者2人がおり、他県からの入学しているケースも少なくない(※東京出身は7人、慶応高の地元・神奈川出身は6人)。
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