永遠の18歳「岡田有希子」と豊田商事事件【メメント・モリな人たち】
いまも現場に集まるファンたち
ユッコがいまも愛されている理由についてもう少し考えてみたい。
投身自殺の現場となった四谷のビル前には、毎年4月8日の命日にあわせ、花束を持ったファンが集まり、手を合わせている。
どんな心境なのか。
ずっとファンだという50代男性は「(ユッコが)一番輝いていた86年で時間が止まっているんです。僕らは年齢を重ねてそれぞれの人生を歩んでいますが、ユッコは18歳のかれんでピュアなアイドルのまま。だから素直な気持ちで今も応援できる」と話す(週刊朝日・2022年4月29日発行)。
ファンの中には平成生まれの若い女性もいる。昭和のアイドルに詳しいレコード会社のプロデューサーは「ユッコの歌がZ世代と呼ばれる若い女性にも共感を呼ぶのは、淡い初恋に悩み苦しむ等身大の女性の心理を歌っているからではないか。世代を超えて共感を呼ぶんです」とみる。
「ユッコはやはり永遠のアイドルなんだなあ」と改めて思う。ファンはユッコが最期を迎えた場所に集まり、静かに思い思いの時間を過ごすことで、互いの絆を深めている。それが、この世知辛い世の中にあって、生きる支えになるのだろう。
レコードデビューしてから、わずか2年しか芸能界にいなかったが、存在感は大きい。愛知県西部の愛西市郊外にあるユッコの菩提寺を訪れるファンの姿も絶えない。墓前はいつも供花で埋め尽くされているという。
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