「知らないうちに3億円の債務者に…」 元ピンク・レディー、未唯mieが凄絶な“借金地獄”を告白 全額返済できた理由とは?
税務署に頭を下げ…
結局、ビルは購入額の半額程度で売り渡し、事務所の規模もコンパクトに。テレビ局に自ら出向いてあいさつ回りもしましたし、公演のスタッフ集めも人の手を借りず自分で行うことになりました。日々の移動は電車やバス、自転車で、返済し終えるまでの数年間、私服は一枚も買いませんでしたね。返済額を考えれば、プライベートの出費を抑えたところで微々たる効果しかないのですが、お借りしている以上、ぜいたくな暮らしはできない。そう思って、徹底して切り詰めたんです。
大変だったのは借金の返済だけではありません。法人税を滞納していたため、税務署からは納税までの間、担保を立てるよう要求されました。でも、すでに私には見るべき資産がありません。過去に両親にプレゼントした家も売り、両親にも小さな家に住み替えてもらっていたくらいですから。税務署の方には「必ず納めますので」と何度も頭を下げ、何とか納税時期を猶予してもらえるよう頼みこみました。
漠然とした自信が
このときの苦労を知っている人からは「よく全額返済できたね」と驚かれるのですが、私が心折れることがなかったのは、やはりピンク・レディーでの経験があったからなのかもしれません。特別なコネも能力もない、どこにでもいるようなサラリーマン家庭の娘が、「どうしても歌手になりたい」という思いだけでデビューにまでこぎ着けた。デビュー後は、寝る時間も食べる時間もありませんでしたが「きちんとプロの仕事をしたい」という気持ちで走り切った。そんな経験があったからこそ「今回もなんとかなる」と漠然とした自信があったんですよ。
それにピンク・レディー時代は私たち個人の活動というより、プロジェクトチームの歯車の一つという感覚が強かった。『星の王子さま』の赤いバラじゃないですが、冷たい風も痛みも感じない分、喜びも薄かったような気がするんです。
でも、3億円の負債を背負った途端、社会の荒波の中に放り出されることになった。この経験こそが、両親の子としてでもピンク・レディーとしてでもない、私個人が踏み出した初めの一歩だったのかもしれません。