「日韓ドラマの一番の違いは脚本への熱量」 マンガ家・東村アキコが語る「原作者なのに軽く説教される」

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 なぜ人々はこれほどまでに韓国ドラマに吸い寄せられ、時を忘れて没頭するのか――その秘密を、自身の漫画を原作とした韓国ドラマが現在進行中のマンガ家・東村アキコに聞いた。

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 私の漫画「私のことを憶えていますか」を原作とする韓国ドラマの制作が進んでいます。日韓両方のドラマの制作に携わったことがある身として、日韓の一番の違いを挙げるとすると、「脚本への思いの強さ」になるでしょうか。

 例えば、原作者として打ち合わせに臨む時、日本だと、プロデューサーと少し話し合って終わり。基本的に、原作者はあまりドラマの脚本に口を出さない、という風土があります。制作側からすると、原作者はできるだけ関わらないでくれ、OKだけ出してくれればいい、という雰囲気なのです。

 韓国の場合、プロデューサーではなく脚本家のチームと1回数時間、何回も打ち合わせをします。尋問のように、「この場面で、このキャラはなぜこのような行動をしたのか」「このとき主人公は何を考えていたのか」などと、みっちり聞かれます。私はどちらかというと、その場のノリで展開を考えていることが多いので、「そちらで変えていいですよ」なんて言うと、「人物の行動や展開には意味がないとダメだ」と、軽く説教されるくらいです。とにかく、熱量が全く違うのです。

脚本家の地位が圧倒的に高い韓国

 それから、仕込みの時間というか、制作にかける時間も違います。打ち合わせを1年以上繰り返したりもします。そもそも韓国ドラマは、制作会社が4話ほど脚本を練って作って、そのあとに放送するテレビ局を決めます。私のドラマもまだ、どこで放送されるのか決まっていません。

 脚本家の地位は、圧倒的に日本より韓国の方が高い。日本の場合、プロデューサーが脚本家に指示を出すケースが多いですが、韓国は脚本第一主義。脚本家兼監督が現場を仕切っています。ちなみに「イカゲーム」の監督は、制作が大変過ぎて歯が6本抜けたという話もあります。キャストの決め方に関しても「この人でいいじゃん」といった感じで安易に考えることはありません。

 CGについてもレベルの違いを感じます。日本では、原作のシーンが再現できない場合、じゃあ脚本を変えよう、となりやすい。しかし韓国は脚本第一主義であるため、何が何でも再現します。例えば「ヴィンチェンツォ」の冒頭のイタリアが舞台のシーン。コロナ禍での撮影だったため、イタリアの街並みは全てCGだそうです。ちょっと考えられないスケールでCGを使うのです。

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