横尾忠則がゴミ屋敷のようなアトリエで制作する理由 「散乱状態は創造の多様性のルツボ」

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 僕のアトリエは物で散乱しています。というか片づけるのが不得意なんです。絵は不透明なものを吐き出す行為ですが、同時にあらゆる物質もアトリエ内に吐き出されていて、一種のゴミ屋敷の様相を呈しています。かといって不用なものは何ひとつないのです。絵を描くための必要不可欠なものばかりで、絵の点数が増えれば物も増える。困ったものです。

 アトリエ内は複雑ですが、それに反比例して絵は次第に単純化へ向かっているように思います。なんとも矛盾した現象の中で、創造と生活を繰り返しています。...

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