リブゴルフとの統合、出戻り選手の処遇は? PGAツアー「モナハン会長」の“ご機嫌会見”に募る不信感

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リブゴルフは継続するのか

 今、ゴルフ界の多くが気にしているのは、リブゴルフの「今後」だ。

 PIFのルマイヤン会長は「リブゴルフはマイ・ベイビーみたいなものだ」と愛情を示し、リブゴルフ選手のブライソン・デシャンボーらに「来年もやる」などと告げたことがすでに報じられている。

 しかし、統合合意が発表された際、リブゴルフの未来はPGAツアーのモナハン会長に委ねられることが伝えられており、これまでリブゴルフを率いてきたグレッグ・ノーマン CEOは解任されると言われている。

 だが、ノーマンCEOが本当に解任されるのかどうかは、依然としてわからない。そして、来年はリブゴルフが継続されるとしても、2年後、3年後、いや5年後、10年後まで継続されるのかどうか、あるいは消滅させられるのかどうかについては、まだ何ひとつ分かっていない。多くの人々が「早くはっきりさせてほしい」と感じている。

「出戻り」する選手の処遇

 それともう1つ。

 PGAツアーから離れてリブゴルフに移籍したものの、両者が統合またはリブゴルフが消滅した際、古巣に戻ることを希望する選手を、どうやってカムバックさせればPGAツアーの選手と折り合いをうまくつけることができるのか。そして、そんな「出戻り」を願い出ているリブゴルフ選手が、実際に今いるのかどうか。いるとしたら何人か。具体的には誰なのか。

 会見では当然、そうした質問が米メディアから出されたが、モナハン会長の返答は、こんな具合だった。

「そのことを尋ねてくれてありがとう。しかし、今、私たちはそのことをPIFと話し合っている真っ最中だから答えることができない。話し合いが終わって、然るべき答えが出たら、そのときは答えることができる。それが今の私の答えだ」

 何やらナゾナゾのような返答だが、討議のプロセスは何も明かさず、いざ結論が出たそのとき初めて明かすのだとしたら、それは統合合意の電撃発表で選手から反感を買ったときと結局、同じことになるのではないだろうか。

 電撃発表で選手からの信頼を失ったモナハン会長は、職務復帰後、「あの発表の仕方は失敗だった。発表する前に選手たちに内容を語り、了承を得るべきだった」と話し、「もう二度とこんなやり方はしない」と宣言。これからは透明性を徹底することを誓った。

 だが、イーストレイクでの会見を聞いた限り、モナハン会長は実に饒舌に語っていたものの、そうしたたくさんの言葉の中に、PIFとの統合に関する現状をつまびらかに示す透明性は残念ながら感じられず、PGAツアーの今後に対する心配と不安が一層膨らんだだけだった。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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