「芝居を変えたら緒形拳からビンタされ…」 佐藤浩市が振り返った「いい面もあれば、しょうもないような」俳優人生
三國連太郎も勝新太郎も
還暦を過ぎた半生を「いい面もあれば、しょうもないような……俳優という商売、職業に逃げて……」と振り返る佐藤が続ける。
「若い頃はアウトローに憧れて、そういうものが許されるんだろうと、諸先輩方を見て勝手に思っていました。皆さん格好良かった。地べた感ある歩みを進めながら、アウトローな振る舞いもできるという……三國(連太郎)だってそういう俳優だったろうし、無茶苦茶していただろうし。それが許された時代だった。今はそういうもんでもねえなと。勝(新太郎)さんみたいな生き方はできないでしょう(笑)。ただ、いつの時代も“いかに乖離した自分を作るか”は必要、必然だとは思いますけどね」
「恥ずかしくないジジイでいたい」
佐藤にとって“年を重ねる”とはどういうことか。
「世間一般では“年を重ねることは徳を積むこと”って言うけど、案外そうじゃねえなって。年取って、より無茶苦茶になる人間、いっぱいいるじゃないですか。コンビニで声荒らげているような(笑)。とんでもないじいさんばあさん、街中にいっぱいいますよ」
清濁併せのむ、それが年を重ねるということらしい。
「だからこそ、この年で新しくいろんなことを見つめ直す中で、研鑽を積めるような場面があるなら、そういうことをした方がいいのかなと思います。恥ずかしくないジジイでいようと」