「芝居を変えたら緒形拳からビンタされ…」 佐藤浩市が振り返った「いい面もあれば、しょうもないような」俳優人生

エンタメ

  • ブックマーク

三國連太郎も勝新太郎も

 還暦を過ぎた半生を「いい面もあれば、しょうもないような……俳優という商売、職業に逃げて……」と振り返る佐藤が続ける。

「若い頃はアウトローに憧れて、そういうものが許されるんだろうと、諸先輩方を見て勝手に思っていました。皆さん格好良かった。地べた感ある歩みを進めながら、アウトローな振る舞いもできるという……三國(連太郎)だってそういう俳優だったろうし、無茶苦茶していただろうし。それが許された時代だった。今はそういうもんでもねえなと。勝(新太郎)さんみたいな生き方はできないでしょう(笑)。ただ、いつの時代も“いかに乖離した自分を作るか”は必要、必然だとは思いますけどね」

「恥ずかしくないジジイでいたい」

 佐藤にとって“年を重ねる”とはどういうことか。

「世間一般では“年を重ねることは徳を積むこと”って言うけど、案外そうじゃねえなって。年取って、より無茶苦茶になる人間、いっぱいいるじゃないですか。コンビニで声荒らげているような(笑)。とんでもないじいさんばあさん、街中にいっぱいいますよ」

 清濁併せのむ、それが年を重ねるということらしい。

「だからこそ、この年で新しくいろんなことを見つめ直す中で、研鑽を積めるような場面があるなら、そういうことをした方がいいのかなと思います。恥ずかしくないジジイでいようと」

週刊新潮 2023年8月17・24日号掲載

ワイド特集「一瞬の夏 永遠の夏」より

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。