「芝居を変えたら緒形拳からビンタされ…」 佐藤浩市が振り返った「いい面もあれば、しょうもないような」俳優人生

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『一瞬の夏』は沢木耕太郎氏がボクサーを取材したノンフィクションだが、明日公開される映画「春に散る」は氏が著した小説が原作だ。不完全燃焼の心を抱える主人公を演じたのは佐藤浩市(62)。自らの半生も振り返りつつ語る“年を重ねること”への思いとは?

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 映画は明日25日に公開されるが、劇中で繰り広げられるボクシングシーンのリアルさは封切り前から評判になっている。とりわけ横浜流星(26)と窪田正孝(35)が殴り合うクライマックスは圧巻だ。

緒形拳から芝居中にビンタ

「流星君も窪田君も、映画だからっていうエクスキューズがなく、とことん詰めてボクシングをやっていましたからね」

 と語るのは、主人公の一人、広岡仁一役を演じた佐藤浩市。心臓を患う広岡は生きがい、いや死にがいを求め、横浜演じる黒木翔吾にボクシングを教える。広岡が黒木に施したように、佐藤もまた横浜に俳優のあり方を示したのか。

「試合の場面がパチモンだと言われた瞬間にこの映画はアウトだということを流星はよく認識していました。それは僕が教えたのでなく、元々彼自身の中にあったものですよ。それがわかって僕もうれしかった」

 ただ、後輩たちに伝えたいことがないわけではない。それは、自身がこれまでに体験した“芝居の面白さ”。

 例えば、いわゆるアドリブについて、

「芝居を変えたら気分を害する若い役者がいるけど、『畜生! でもそれもありなのか』と思える、フレキシブルな世界でありたいな。昔は変わるのが当たり前で、ついていかなきゃいけなかった。もっとも、いきなり芝居を変えたら、怒った緒形拳さんに芝居中にビンタされたことがあったけど。でも拳さんが悔しがっているのがわかって、『よしっ』って思ったよ」

 と相好を崩す佐藤。

「スタッフは大変だけど、お約束だけじゃなく、そういうことを面白がれる現場でありたいですね」

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