「引退して主婦に…」 松田聖子が手紙につづった「伝説の引退宣言」の中身とは? CBSソニー元副社長が独白「夫婦関係の悩みも綴つづられていて切実だった」
切実な悩み
稲垣氏が回想を続ける。
「主に家庭や夫婦関係について書かれていました。とくに目を引いたのは“出産して以来、夫が自分を構ってくれない”という趣旨の部分。世間的にも、妻の出産後は夫婦関係が変化するといわれます。似たような悩みを聖子も抱えていたようで、僕はかなり切実という印象を受けましたよ」
無論、決断の背景には自身にまつわる騒動があった。
「手紙が届く前、僕は人づてに“気をつけてほしい”と聖子に苦言を呈していました。所属先のサンミュージックの相澤秀禎社長(当時)も同じく注意したそうで、それがきっかけかどうか、彼女は“家庭に入れば夫は再び自分に関心を持つはず”と考えたようです」
“だって普通の夫婦は…”
加えて、聖子の意識は過熱する報道にも向いていた。
「自身がまいたタネではあるんですが、彼女は“主婦になればスキャンダル報道とは無縁の生活を送れる”と考えたフシがある。加えて、夫の神田が所属する石原プロがタレントのスキャンダルを完璧に抑える一方で自分の話は大きく出てしまう。この点にも不信感を抱いている様子でしたよ」
手紙を読み終え、稲垣氏はすぐ聖子の自宅に赴いた。
「本人に理由を尋ねると“だって普通の夫婦は夫が稼いで、奥さんは主婦でしょう?”と。それから僕は“応援してくれるファンを見捨ててはダメだ”と説得を重ねました。ひと月ほどで翻意させられましたが、とにかく僕は必死でした」
稲垣氏のもとには、いまもその手紙が残されている。
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