「引退して主婦に…」 松田聖子が手紙につづった「伝説の引退宣言」の中身とは? CBSソニー元副社長が独白「夫婦関係の悩みも綴つづられていて切実だった」
1970年代の歌謡界を象徴する歌姫・山口百恵(64)からバトンを継いだ松田聖子(61)は、80年代の空前のアイドルブームをけん引した。やがて“ブリッ子”から“ママドル”と呼ばれた彼女は、ある時、自身を発掘したレコード会社の幹部に芸能界からの“引退宣言”を送りつけていた。
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「聖子から手紙をもらったのは、後にも先にもあの時だけ。平成2年ごろだったと思います。自宅に届いた封筒を“なんだろう?”と開けてみると、便箋に6枚くらい、びっしりと彼女の思いがつづられていた。読み進めると“歌手を辞めたい”“引退します”とありましてね。瞬時に“これは大変なことになった”と背筋が凍りつきました。あれは単なる思い付きや相談というレベルではなく、じっくり考え抜いた末にたどり着いた聖子の引退宣言でした」
父親であり”ボス”
四半世紀前にもなる衝撃的な記憶を振り返るのは、昭和55年に発売された聖子のデビュー曲「裸足の季節」を手がけた、CBSソニーレコード(現 ソニー・ミュージックエンタテインメント)の元副社長・稲垣博司氏(81)だ。このほど、自身の足跡と当時の音楽シーンを振り返る『1990年のCBS・ソニー』(MdN新書)を上梓した。
「当時、僕はCBSソニーの取締役で、聖子の楽曲の管理やレコーディング現場を監督する立場にありました。彼女は僕が中心となって仕掛けた全国規模のオーディションがきっかけで見いだされ、ほどなくデビューを果たしました。そんな縁から、聖子は僕を父親みたいな存在であると同時に、音楽業界における“ボス”として見ていたようです。だから、あの手紙を送ってきたのでしょう」
この5年ほど前、聖子は昭和60年公開の映画「カリブ・愛のシンフォニー」で共演した神田正輝(72)と結婚し、娘の沙也加にも恵まれていた。にもかかわらず、当時の彼女は無名の米国人俳優と浮名を流し、メディアで盛んに報じられていた。
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