中国「恒大集団」トップに持ち上がった“重大疑惑” 「妻と偽装離婚して資産隠し」報道の裏にある意外な真相
上場廃止のデッドライン
96年、許氏が広東省で創業した恒大は「必ず値上がりする」との“不動産神話”の波に乗り急成長を遂げた。多額の借り入れをしてEV生産への参入やプロサッカーチームの所有など事業の多角化を進めたが、20年に暗転。中国政府が過熱する市場を警戒して不動産融資規制を打ち出したのだ。
「それにより不動産市況は一気に冷え込み、21年に入って恒大の経営危機が表面化。昨年末時点での負債総額は2兆4374億元(約48兆円)にのぼり、債務超過に陥りました。ニューヨークの裁判所に15条の適用申請をしたのは、米国内の保有資産に対する海外債権者からの差し押さえを回避し、債務圧縮などの経営再建へと繋げるため。債権者たちとの協議はいまも香港などで継続中ですが、このまま行くと9月21日に香港市場で上場廃止になるという“瀬戸際”に立っている」(全国紙経済部記者)
田代氏が続ける。
「何とか問題をソフトランディングさせるため、地元の広東省政府も作業チームを派遣して恒大の支援を続けています。恒大の債務問題は最大のヤマ場を迎えており、その渦中で許氏が取った“偽装離婚”の離れ業は、政府の鼻をあかし、債権者から見れば“抜け駆け”や“身勝手な保身”とも映る。なぜなら許氏の糟糠の妻に対する深い愛情は中国では周知のことであり、誰も2人が本当に離婚したとは考えていない。つまり保全した妻の資産はそのまま許氏との共同資産となる公算が高く、不動産バブルの崩壊で割を食った庶民の間からも“ずるい”“姑息”といった声が上がっています」
奇策は吉と出るか、凶と出るか。運命の審判は目前に迫っている。