TBS「世界陸上」 織田裕二ロスでテレビ局が得た教訓

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TBS社内でも絶賛

「すでにドラマも映画も主役しか演じなくなっていた彼が、なぜ『世界陸上』のメインキャスターなのか、時に『うるさい!』『暑苦しい』などと言われながらも13大会、実に25年にわたって『世界陸上』の実況を続けました」

 その間、「地球に生まれてよかった~!」「事件はパリで起きてます!」「マラソンゲート、封鎖できません!」「涙が出て来た! なんだよコレ!」……数々の名言も生まれた。

「継続は力とは言いますが、好き嫌いはあっても、いつの間にか“『世界陸上』は織田裕二”と刷り込まれた人が多いのだと思います」

 それはTBS幹部も同様だという。

「2003年のパリ大会は、時差に苦しめられたものの、枠全体の視聴率が11・9%、プライムの平均が16・4%と、『24時間テレビ』(日本テレビ)並みの高視聴率を記録。TBS社内の番組審議会でも絶賛されました」

 議事録にはこんな声が上がっていた。

《最近、スポーツに理解のない芸能人が単に「にぎやかし」で出演し、嬌声を上げるスポーツ番組が多い中、織田裕二・中井美穂両キャスターはとても良かったと思う。》

《織田裕二君が良かった。私も「もうすぐ」「このあと直ぐ」につられて4時半まで拝見したが、あんなに真面目に白々しいことを言うのは、役者じゃないと多分できない。その生理が非常によかったんじゃないか。》

《織田裕二さんをいいなと思ったのは、日本の選手が負けたときに、「もう次に行きましょう」。冷たい言い方じゃなく、一番心を痛めているのは選手たちなんだから、そのことについて、もう余り触れたくない、そういう潔さみたいなものが非常にあった。》

 絶賛である。それなのに、なぜ引退させてしまったのか。

「やはり、ギャラはもちろん、渡航費、滞在費も大きかったと思います。ましてや2年連続の開催でしたからね。とはいえ、視聴者は織田の降板と共に、今大会のテーマ曲が織田の『All my treasure』から星野源の『生命体』に変更されたことにまで異議を唱えています。番組の顔は無闇に変えるものではないということがよくわかりました。我々にとっても他山の石となりました」

 次回、2025年の世界陸上は東京開催だ。早くも織田の復帰を望む声が上がっている。

「東京なら、渡航費、滞在費はかからないので、ギャラに回すこともできます。もっとも、復帰してもらったら、二度と降ろすことはできないでしょう。スペシャルゲストくらいなら十分復帰はあるでしょう」

デイリー新潮編集部

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