TBS「世界陸上」 織田裕二ロスでテレビ局が得た教訓
「世界陸上は密度が高い」
織田は「世界陸上」の放送権がTBSに移った1997年のアテネ大会から、中井美穂アナ(58)とともにメインキャスターに就任した。当時、TBSはキャスター経験のない織田を起用した理由をこう説明した。
《織田さんはスポーツマン。日ごろの演技に対する真摯な姿勢が、アスリートたちのストイックさと共通するものを感じた。単なるキャスターではなく、視聴者の代表として感じたことをズバリしゃべってもらいたい》
アテネ大会の2カ月前に開催された全米陸上を取材して以来、陸上競技の魅力に取りつかれたと、織田はインタビューで明かしている。
《人間があんなに早く走れたり、跳べたり出来るのか、と感動しました。それに、本気で競う選手たちの姿。全力疾走の時の顔をナマで見ただけでもよかった。陸上競技は、道具もほとんど使わず、一見地味ですが、オリンピックの華は陸上競技なんです。(中略)オリンピックもすごいけれど、「参加することに意義」の選手もいる。世界陸上は、本当にトップクラスだけが出場するので、もっと密度が高いですよ》(毎日新聞:97年7月25日)
これだけでも熱量が伝わってくる。
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