「お宅の屋根が壊れています」ある日、突然こう言われたら、絶対疑うべき理由【元公安警察官の証言】

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「器物損壊罪」

「知人は7月27日付産経新聞に掲載された『屋根修理業者装い認知症女性に詐欺 容疑の男2人逮捕』という記事を見て、昨年来た業者の話は嘘だったと確信したそうです。それで私に業者の名刺の写真をメールで送ってくれました」

 勝丸氏は、すぐに旧知の警視庁関係者に問い合わせたという。

「生活安全部は、その業者をマークしていました。まだ詐欺事件は起こしていませんでしたが、法外な工事代を請求するということで、苦情が数件寄せられていたのです。いずれ事件を起こすと見ていたようです」

 屋根が壊れていると言われた場合、素人は自分で確認しづらい。そのため業者を信用してしまうケースが多いという。

「屋根を点検すると言って屋根に上がり、棟板金の釘を抜いて屋根を壊す悪質業者もいます。これだと詐欺だけでなく、器物損壊罪にも問われます」

 今年5月31日、東京都は屋根のリフォーム工事会社「スマイルホーム」(杉並区)に対して、「屋根がはがれそうなところがある」と消費者宅を訪問し、虚偽の説明でリフォーム工事を行ったとして特定商取引法に基づく3カ月間の一部業務停止命令を下した。スマイルホームに関する東京都への相談は2021年以降97件。平均工事代金は約88万円で、最高額は約350万円だった。

「中には、火災保険を使えば無料でリフォームできると持ちかける業者もいます。でも実際は、火災保険から出るお金はリフォーム代金のほんの一部に過ぎません」

 さらに、こんなケースもあるという。

「特殊詐欺グループによる連続強盗が頻発していますが、彼らがリフォーム業者を装って訪問することもあります。屋根修理業者を装って屋根の点検を行い、実際は家の中の様子を見るためだったというケースもあったそうです。金目のものがないか物色していたというわけです」

 いずれにしても、ある日突然、「お宅の屋根が壊れています」と言ってくる業者には気を付けた方が良さそうだ。

勝丸円覚
1990年代半ばに警視庁に入庁。2000年代初めに公安に配属されてから公安・外事畑を歩む。数年間外国の日本大使館にも勤務した経験を持ち数年前に退職。現在はセキュリティコンサルタントとして国内外で活躍中。「元公安警察 勝丸事務所のHP」https://katsumaru-office.tokyo/

デイリー新潮編集部

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