「お宅の屋根が壊れています」ある日、突然こう言われたら、絶対疑うべき理由【元公安警察官の証言】

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 日本の公安警察は、アメリカのCIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)のように華々しくドラマや映画に登場することもなく、その諜報活動は一般にはほとんど知られていない。警視庁に入庁以後、公安畑を十数年歩み、数年前に退職。一昨年『警視庁公安部外事課』(光文社)を出版した勝丸円覚氏に、新手のリフォーム詐欺について聞いた。

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 最近、屋根の修理を持ちかけるリフォーム詐欺が増えているという。

「1年程前、私の知人宅にある日突然、屋根修理の業者がやってきたそうです」

 と語るのは、勝丸氏。

「『こんにちは』と言って、インターホンを鳴らす者がいるので知人が応対したところ、作業服を着た若い男が立っていた。そして『近くで工事をしていて気づいたのですが、お宅の屋根がめくれています』と言ったそうです」

 業者は知人に名刺を渡したという。

聞き覚えのある会社

「名刺を見ると、聞き覚えのある建設会社だったそうです。ただし、本社は東京のはずなのに、名刺にはさいたま市の住所が書かれていたので不審に思ったといいます」

 業者は、「うちの会社、聞いたことないですか?」と、笑ったという。

「ところが、すぐに真剣な表情になって『お宅、雨漏りしていませんか?早く屋根を修理したほうがいいですよ。台風の季節も近いことですし』と言い出した。知人は真剣に聞いたそうです」

 知人が困ったことになったものだと考え込んでいると、

「業者が『じゃあ、近いうちにまた来ます。どのくらい修理費がかかるか見積もります』と言うので、知人は1週間後に来てもらうように頼んだそうです」

 業者が帰った後、知人は4年前にスレート屋根を塗装したことを思い出した。

「その際、塗装する前に屋根の点検も行なっていました。それで屋根が本当にめくれているのか確認するため自宅の周囲をぐるりと回りながら双眼鏡で見たところ、何も問題はなかったといいます」

 知人は、名刺に載っていた業者の携帯に連絡した。

「『屋根を見て回ったら、どこもめくれていないからもう来なくて結構です』と言うと、業者は慌てた声で『めくれていると思ったんですが……』と答えたそうです」

 それから約1年後。

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