藤井聡太七冠と永瀬拓矢王座は「相思相愛」 お互いが語った“愛”とは?

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器がものすごい

 永瀬王座は、大みそかも元日も返上で研究に励む、ストイックで鬼のような努力ぶりから「軍曹」の異名をとる。そんな人物が、藤井七冠には賞賛の言葉を惜しまない。6月2日の朝日新聞ネット版では、

〈藤井さんは棋界において1番か2番の努力をしている〉

〈藤井さんは才能だけでなく器がものすごいんです〉

 まさに“藤井愛”が溢れんばかり。他方、藤井七冠もまた、3年前に永瀬王座との対談で、永瀬を「親切な方」と評し、次のような逸話を披露した。

〈永瀬二冠(当時)の研究室に伺うとペットボトルが30本くらい置いてあって、種類も15種類くらいと豊富なんです。それを「自由に飲んでいいですよ」と言ってくださるので、そういう気遣いというのが自分としてはとても勉強になります〉

 かくも相思相愛の二人が、歴史的対決に挑むわけだ。

 全六大タイトル時代に、五冠を経験した中原誠十六世名人が期待を込める。

「タイトル戦が増えると地方での対局が多くなり、体調管理も重要になります。藤井さんは棋界最強ですが、永瀬さんも研究熱心と有名で、藤井さんにとっては仲良くしている研究仲間でもあって、やりにくい相手だと思います。二人の戦いがこの上なく楽しみですね」

 王座戦は今月31日開幕。青春小説顔負けの、胸熱くなるドラマになりそうだ。

週刊新潮 2023年8月17・24日号掲載

ワイド特集「一瞬の夏 永遠の夏」より

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