「火葬待ちで10日間」もザラ… “火葬場不足”問題の切り札「2か月長期保存」も可能な「遺体安置冷蔵庫」大人気の裏側

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「内臓温度」を下げる

 同じくドライアイスを使わず「遺体の長期保存が可能」として、葬儀業者の間で注目を集めているのが「エコクール」という遺体冷却保管装置だ。

 開発した「エコテクノ」(埼玉県越谷市)の川本和男社長が話す。

「ご遺体が腐敗する原因細菌の一つが通性嫌気性細菌という、繁殖至適温度が25~40度の中温菌です。そのため死亡後、すみやかにご遺体の体内温度を25度以下にまで下げることで、通性嫌気性細菌の繁殖を抑止し、腐敗の速度を大幅に低下させることができます」

 エコクールの特徴は遺体の「深部」を冷却、つまり内臓温度を効果的に下げることが可能な点という。エコクールの棺の底部には冷却端子が4つ設置され、それぞれが遺体背面部の首・胸・腹・腰付近を冷却する仕組みとなっている。

「ご遺体を横たえると内臓は背中側に落ちてくるため、イメージとしては“内臓を通じて体内熱を放出する”といった感じでしょうか。エコクールの場合、冷却の際にペルチェ素子という半導体の一種を使うことで、ご遺体の熱を“吸熱して放熱する”――とのサイクルを効果的に繰り返すことができます。10日間程度であれば、ご遺体を綺麗な状態のまま保てることはすでに実証済みです」(川本氏)

 お値段は120万円(参考価格)からとなるが、やはり最近、葬儀会社のほかに病院などからの問い合わせも増えているという。葬儀のありようは時代とともに変化するが、故人との最期の別れを「美しく、厳かに迎えたい」との心情は不変のようだ。

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