「火葬待ちで10日間」もザラ… “火葬場不足”問題の切り札「2か月長期保存」も可能な「遺体安置冷蔵庫」大人気の裏側

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ドライアイス不要で「長期保存」

 そのうちの1社である都内・日野市に本社を置く「株式会社クーロン」代表の阪口茂氏が言う。

「近年、“なかなか火葬できない”という事態に困惑した家族が葬儀会社を通じて弊社に注文してくるケースが増えています。ドライアイスを用いた保存法では、どうしても日数が経つとご遺体が酸化などのためにドス黒く変色してしまう。コロナ禍で家族葬が増えたこともあり、ご家族の間で“できるだけ綺麗な顔で最期のお別れをしたい”という想いが強まっていることも受注増の背景にあると考えています」

 同社が開発した遺体保存装置「ペルソナ」はドライアイスが不要で、1か月以上の長期保存も可能という。その理由について、阪口氏がこう話す。

「遺体専用トレー(棺桶)内の温度をマイナス4~0度に保ち、トレー内に電場を発生させ、ご遺体をパーシャル状態にして保存するためです。電場を発生させることでご遺体に振動を与え、体内の水分子を共振。そうすることで水分子の集まりであるクラスターを細かくし、細胞を壊さずに沸点を下げることができる。これにより遺体を凍結させることなく、劣化や腐敗を防ぐことが可能になります」

 この原理自体は、スーパーなどで肉や魚の鮮度を保つ技術を応用したものに過ぎないという。

「これまで最大で45日間程度、ご遺体を綺麗な状態のまま保存できたケースがあります。トレーに付いている蓋を開け閉めしなければ、2か月程度の保存も可能です。価格は150万円程度になりますが、最近は葬儀会社以外にも病院や火葬施設を持たない地方の村役場などからの問い合わせも増えています」(阪口氏)

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