窮地のビッグモーターに大手コンサルはどんな再生計画を出すか 退任した兼重親子が今後、責任追及されるシナリオは

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他の金融機関も追従

 そもそもは8月10日、90億円の借り換えが不可能となったことが、ビッグモーターにとって大きな痛手だったと言う。

「金融機関というのは、企業に不祥事が起きた当初、『今後は新たに追加の融資はできませんよ』と言うのがファーストステップです。現在、融資しているものについては、期限が来ても同じような条件でそのまま借り換えることには応じることが少なくありません。ところが、今回の報道では、延長自体を断られたといいます。これはビッグモーターにとって、かなり深刻な事態だと思います」

 ビッグモーターは8月18日までに90億円の返済を済ませる予定という。そもそも300億円以上の現預金があるから、経営には問題がないという報道もある。

「同社の借入金は90億円だけでなく、総額で510億円にのぼります。それらは新店舗開設時の設備資金や中古車の買い取りなど運転資金として活用され、拡大してきました。今後はその返済が迫ってくるわけです。今回、借り換えを断った金融機関は、三井住友や三菱UFJ、みずほといった錚々たる銀行ですから、おそらくビッグモーターのメインバンクでしょう。企業が傾いた際、再生企業のメインバンクが他の債権者の分まで負担をする“メイン寄せ”が行われることがありますが、今回はそれもないわけです。メインが融資を断ったとなれば、他の金融機関も追従するでしょう」

 返済が不可能になったら、銀行だって困るのではないか。

兼重前社長の責任は問えるのか

「実は今回、ビッグモーターの借入金が意外に少ないことに驚きました。メガバンクにとってはそれほど大きな金額とは言えません。もちろん回収できればそれに越したことはありませんが、取りはぐれたとしても経営に差し障るほどの額ではない。だからこそ、銀行も大ナタを振るえたのだと思います」

 銀行から見捨てられた場合、ビッグモーターはどうなるのか。

「従業員への給料は払い続けなければなりませんし、会社の運営費もかかる。そんな中で、予定していなかったか借入金の返済をしていかなければならないわけです。損保各社への返金もあるから、相当厳しくなるでしょう。従業員を雇い続けるよりも、一時的に退職金を増やしてでも希望退職を募ることになるかもしれません。それにもお金がかかるわけですから、現金確保を急ぐことになります。ビッグモーターは出店の際、その土地を購入する場合もあるようですから、土地や在庫の中古車など売ることを考えるでしょう」

 創業者の兼重宏行氏は会見の翌日、社長の座を降り、副社長だった息子の宏一氏とともに経営陣から外れた。経営から離れれば責任は及ばないのだろうか。

「宏行氏は経営から身を引きましたが、ビッグモーターの唯一の株主である資産管理会社ビッグアセットの社長は降りていません。つまり、実質的オーナーであることに変わりはありません。ビッグモーター社長としての報酬は入らなくても、株主としての配当でこれまで通り生活していけるという見方もありますが、これはあくまでビッグモーターが存続するという前提での話です。もし、同社が倒産し、管財人に経営の決定権が移った場合、会社に対して損害を与えたという認定がされれば、責任追及される可能性もあります」

デイリー新潮編集部

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