【ススキノ頭部切断殺人】クラブで愛娘を監視、ヘリコプターペアレントだった田村修容疑者が瑠奈容疑者に与えた大きすぎる負の影響とは

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子供の入社式に来る親

「ヘリコプターペアレントとは初耳だ」という方も多いだろうが、ネットで検索すると多数の記事が表示される。

「一説によると、アメリカ人の医師が1990年に出版した教育書の中で、造語として記載されたと言われています。上空を旋回するヘリコプターのように常に子供を見守り、何かあると急降下して事態に介入。要するに、極端な過保護というわけです。モンスターペアレントに似ていますが、こちらは我が子のために学校などを攻撃し、過剰な要求を突きつけたりします。一方のヘリコプターペアレントは、我が子の保護を最優先にする傾向があります」(同・担当記者)

 新聞記事のデータベースで検索したところ、ヘリコプターペアレントという言葉が登場したのは2008年5月、朝日新聞の夕刊に掲載された「過保護な親、大学にも 少子化で?顧客満足求める? 教科書どこで買う…」という記事が最初のようだ。

「この頃から大学では『子供にどの科目を履修させればいいのかを親が電話で聞いてくる』、『子供が休講すると親が「大学生のふりをするので、子供の代わりに自分に補講を行ってほしい」と頼んできた』といった事例が目立つようになりました。子離れができていない親を新聞は奇異なものとして報じ、その際にアメリカ発のヘリコプターペアレントという造語を紹介したわけです。こうした大学生と親が就職活動の時期を迎えると、今度は『会社説明会や就職試験に親がついてくる』、『子供と一緒に親も入社式に参加しようとした』といった記事が紙面を賑わすことになりました」(同・担当記者)

不安や抑うつの増加

 今でもネット上ではヘリコプターペアレントの記事が数多く配信されている。だが、2010年代の新聞記事とは内容が異なるようだ。

「当時の新聞記事は、過保護な親に対する違和感を伝えるものが大半でした。ところが現在は、『あまりに過保護だと虐待と同様の悪影響を子供に与える』という研究データを紹介した記事が目立ちます。臨床心理士などの専門家がヘリコプターペアレントの問題点を指摘し、警鐘を鳴らすという記事も少なくありません」(同・担当記者)

 過保護は児童虐待と同じというのは驚きだが、今年2月、アメリカのアトランティック大学心理学部がその研究結果を発表している。

 この研究によると、アメリカではここ数十年間、親のいない場所で子供が遊ぶ機会が減っているという。親から離れて自由な時間を過ごすことで子供は自立心を獲得すると考えられている。友達と一緒に遊べば友情を実感する。ケンカも貴重な経験だろう。

 ところが、ヘリコプターペアレントの増加に伴い、アメリカの子供は「他者からの信頼感」や「自分自身の責任感」を認識する機会を喪失。その結果、高いレベルの不安や抑うつなどに悩まされる子供や青年が増えているという。

「子供は失敗からも学習します。間違えれば反省しますし、挫折すれば別の道を模索したり、再挑戦したりします。ところが、ヘリコプターペアレントは我が子の失敗を極端に恐れ、何かあるとすぐに介入します。これは子供の貴重な成長の機会を奪うことになるので、虐待に等しい問題行動だと考えられるようになったのです」(同・担当記者)

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