【ゴルフ】ミケルソンがギャンブルで賭けた額は「30年で10億ドル以上」 元パートナーが出版した暴露本のスゴイ中身

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出場する試合を賭けた?

 ミケルソンがギャンブルで動かしていた金額が高額であることはもちろん驚きだが、さらなる驚きは、ウォルター氏が暴露本に記したこんな話だ。

《ミケルソンは2012年ライダーカップの際、私に連絡してきて、「自分と米国チームに40万ドルを賭けろ」と要求した》

 ウォルター氏は言われた通り40万ドルを賭けたが、結果、米国チームは敗北。しかし、問題となっているのは、ライダーカップの勝敗でもウォルター氏の賭けの勝敗でもない。ウォルター氏いわく、《ミケルソン自身が選手としてプレーしている試合に対して、彼自身から「賭けをしろ」と言われたことは、あまりにも驚きだった》。

 ウォルター氏の暴露の真偽を確かめようと、米メディアはミケルソンに突撃したが、彼はその場では答えなかった。だが、その数時間後、疑惑を否定する内容をX(旧Twitter)で発信した。

《僕がゴルフコースで仲間とフレンドリーな(少額の)賭けをして楽しんでいることは、みなさんも知っていることと思う。でも、僕がライダーカップを賭けの対象にしたことは一度もない。ゴルフというゲームの威厳を損なう行為をしたことは一度もない》

 今のところ「言った、言わない」「賭けた、賭けない」の押し問答だが、米メディアからは厳しい声が上がり始めている。とりわけ、米ゴルフウィーク誌のイーモン・リンチ氏は「このままでは済まされない」として持論を展開した。

 自分が出場している試合で選手が賭けをすることは、選手にしか得られない情報を不当に利用してギャンブルに参加することであり、それは「大きな問題だ」と指摘するリンチ氏は、「この問題はPGAツアーのみならず、PGAオブ・アメリカやUSGA(全米ゴルフ協会)、R&A(ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフ・クラブ・オブ・セント・アンドリュース)、マスターズを主催するオーガスタ・ナショナルなど、ゴルフに関わるすべての団体がきちんと調査し、ゴルフというゲームの威厳が損なわれないよう毅然と対処すべきである」と記している。

真相は…

 米国ではスポーツギャンブルが合法化されており、ラスベガスをはじめとするブックメーカーなどのギャンブル業界とPGAツアーは、日ごろから密な連携を取り合う協力関係にある。PGAツアーのみならずメジャー4大会における勝敗や選手たちのパフォーマンスも、ブックメーカーによって詳細に分析され、賭けの対象とされている。

 こうした賭けに参加することは、欧米のゴルフファンの間では「庶民の夢を乗せた楽しみ」とされている。それは日本人が夢を託して宝くじなどを買う感覚とよく似ている。

 だが、一般ファンがゴルフの試合をそうした賭けの対象にすることと、試合に出ている選手がその試合で賭けを行なうこととはまったく意味が異なる。

 果たしてミケルソンは、ライダーカップの選手でありながらライダーカップをギャンブルの対象にしていたのか。もはや調査結果を待つ以外にできることはない。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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