テレ朝「何曜日に生まれたの」は戦略ミスか 絶不調の夏ドラマ5本、それぞれの敗因

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「VIVANT」は圧勝

 主演が鈴木京香(55)から若村麻由美(56)に交代したフジ「この素晴らしき世界」(木曜日午後10時)も10日の個人全体が1.6%(世帯3.1%)、コア0.7%と苦戦中。平凡な主婦が大女優の替え玉を務めるシチュエーション・コメディなのだが、ストーリーがスパイス不足に映る。周囲を欺く替え玉の物語でありながら、スリルに欠ける気がしてならない。

 坂口健太郎(32)の日本テレビ「CODE-願いの代償-」(日曜午後10時半)は、13日放送回の個人全体が2.4%(世帯4.1%)に留まった。コアは1.8%。この時間帯はPUTが低いとはいえ、振るわない。とっつきにくいハードボイルタッチの作品だからか。

 この週のドラマで個人全体が最高だったのは、13日のTBS「VIVANT」(日曜午後9時)。8.7%(世帯14.2%)だった。ドラマのみならず、あらゆる番組の中でトップである。尻すぼみになるどころか、回が進むに連れ、視聴者を増やしている。コアは6.1%。若い層の支持が厚いのが特徴である。

 関東地区の視聴者総数は約4200万人で、個人全体視聴率1%は約42万人だから、約365万人が観たことになる。同日分の録画も合わせた総合視聴率はまだ出ていないが、これまでのデータを見ると、個人全体15%(世帯25%)に達しているはずだ。テレビ離れが進もうが、魅力的な作品には視聴者が飛びつくことが、あらためて証明された。

 作品の質と視聴率は別次元であるものの、民放の業績を支配するのは視聴率。その数字が振るわないと、局の収益は確実に落ち込む。制作費が減り、負のスパイラルに入る。各民放の決算書類を見れば一目瞭然だが、TVerの収入はCMに遠くおよばないのである。

 今後、数字を急伸させる夏ドラマはあるか。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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