「闇バイト」が狙う“金がありそうな家の名簿”はどうやって作られているのか【元暴力団の証言】

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ルフィ・渡邉も役所から入手か

 この元暴力団員の話を裏付けるような証言があります。広域連続強盗事件の首謀者とされる渡邉優樹容疑者とフィリピンの収容施設で生活していた人物によると、

「(闇名簿は)『役所から情報を取るのが一番、大きい。税金いくら納めてるとか。(Q・市役所に協力者がいる)そう。この時代にフロッピーですよ』。役所から渡邉容疑者ら四人の元に、納税情報などを含んだ個人情報が流出していたという」ものです。

 さらに、捜査関係者も「自治体からの漏えい、情報の販売は絶対ある。言い切れるレベルで自信ある。場所によっては、セキュリティーチェック体制も緩い。ザルなところなんてたくさんあるよ」とインタビューに答えています(「テレ朝ニュース」二〇二三年三月一四日)。

 ツイッターでも「情報買います」というツイートがあります。#名簿、#情報などと引っかかるようにしています。

 元暴力団員の証言に戻ります。

 名簿屋は、情報屋から名簿を買うとき、安く叩いてナンボ。だから、マスコミさんは相場を知りたがりますが、それは企業秘密です。相場を作らせないためですね。

カタギが個人情報をカネにしているのか

 一方で、名簿屋や特殊詐欺の実行犯が、直接被害者に電話をかけて情報収集するケースもあります。

(名簿の流出は)カタギ個人のケースもありますが、会社ぐるみの場合もあります。たとえば、正規の合法な名簿屋がある。これは、セールスマンのための名簿を扱う会社です。学習教材会社なら、ファミリー名簿を売るんです。しかし、こうしたカタギの名簿屋さんも、名簿のオイシサを知ったら、カネのために悪い方に流れていくケースもあります。

 あるいは、ブランドや高級車の購入者名簿が欲しければ、従業員に接触して、カネをチラつかせてデータのコピー取らせるとか、さまざまな方法があります。

 あと、カタギさんに「家にカネありそうなところを知らないか。そこに本当にカネがあれば、(儲けの)一〇%あげるから教えてくれ」って言うと、必死で調べてきますよ。こうした生の情報はありがたい。自分がタタキの実行犯(強盗犯)にならなかったとしても、情報自体が売れるんですから。

 大体、名簿がカネになるようになったのは、特殊詐欺が始まってからじゃないですか。昔は、名簿なんか捨てていました。パソコンの中の名簿なんか普通に放置されていました。

 しかし、これがカネになる現在ですと、わざわざ名簿を盗みに入る者も出てきた。名簿は、貴金属や現金と違って、セキュリティーの甘いところに保管していますから、盗みやすい。さらに、盗まれても、被害者は(個人情報取り扱いの杜撰さを)客に責められるから、被害届を出さないんじゃないですか。

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