「闇バイト」が狙う“金がありそうな家の名簿”はどうやって作られているのか【元暴力団の証言】

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 ことし1月、東京・狛江で発生した老女強盗殺害事件をきっかけに、フィリピンから指示を出し、「闇バイト」に強盗をさせる犯行グループの存在が浮かび上がった。さらに、その実行役の多くが「闇バイト」の若者と言われる特殊詐欺に関しては、1日あたり9900万円(2022年の統計より)もの被害があるという。日々の脅威を増す「闇バイト」絡みの犯罪だが、彼らはターゲットをどのように探すのか。犯罪社会学者でノンフィクション作家の廣末登氏が、当事者らへの取材をもとに綴った『闇バイト――凶悪化する若者のリアル』(祥伝社)から一部を抜粋して紹介する。

詐欺や強盗等の実行に欠かせない「闇名簿」の売買実態

 特殊詐欺やアポ電強盗、強盗をする上で、重要な役割を果たすツールが闇名簿です。この名簿は、さまざまな種類があり、ランク付けされています。以下、筆者が、闇名簿などの流通に詳しい元暴力団から取材した話を紹介します。

(首都圏を中心に全国各地で発生した広域連続強盗の)ターゲットは、名簿からチョイスしたと思います。ただ、現時点では、この名簿の質は分からないし、入手先も分からない。もしかしたら、ダークウェブ(後述)で購入したものかもしれない。

 闇名簿はピンキリで、サラピン(一度も犯罪に使われていない)は値が張ります。詳細な名簿なら一件あたり一万円する場合もある。一方、使い古された名簿(出涸らし)は、一件三〇〇円、五〇〇円と安くなる。おそらく、首都圏を中心に全国各地で発生した広域連続強盗事件で使われた名簿は、金を持っている、入ったら金がありそうな家の名簿を使ったと思います。

(裏社会の)名簿屋は、情報屋から情報を買います。情報屋はカタギから情報を買うんです。デイサービスや家政婦派遣の情報、学校職員の家族名簿、市会議員や町村会議員の名簿と、いろいろあります。

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