花巻東「佐々木麟太郎」はプロで通用するか 中日スカウトが「柔らかく対応している」と評した意味
プロスカウトたちの佐々木の評価
超高校級スラッガーの最初で最後の夏の甲子園は、141本目の快音を響かせてくれるのだろうか――。
岩手県代表・花巻東の佐々木麟太郎(3年)が大会8日目の8月13日、北北海道代表のクラーク記念国際との2回戦に挑んだ。しかし、ホームランはナシ。高校入学当初から「スーパー1年生」として期待を集め、今夏の大会前に「高校通算140本塁打」に到達しているパワーヒッターだ。
「実は、岩手県大会の時点で背中を痛めており、実際にスタメンを外される試合もありました」(地元紙記者)
それもあって、今大会で「佐々木の真価が問われている」との指摘も聞かれた。大会3日目(8日)、宇部鴻城(山口県)との1回戦だった。「3番・一塁」で佐々木は第1打席でチーム初安打となるレフト前ヒットを放つと、4回の好機には内角に食い込んでくる変化球に巧く腕をたたんで先制点をあげた。
「甲子園で試合をするのは、これで2度目。昨春のセンバツ以来です。甲子園でホームランが見たいと思ったんですが」(前出・同)
3打数3安打1打点。他校の主軸バッターなら「大活躍」だが、本塁打を量産してきたパワーヒッターである。物足りないと感じた野球ファンもいたかもしれないが、プロのスカウト陣の評価は違った。
同試合後、中日・松永幸男スカウト部長が記者団の要望の応え、こう評していた。
「変化球に柔らかく対応している。飛ばす力があるのは分かっているが、巧さもある…」
そのほか、千葉ロッテ、巨人、阪神、埼玉西武のスカウトマンや、米ロイヤルズの大屋博行スカウトの姿もスタンドで確認されている。だが、佐々木を追う日米スカウトたちは最終確認として甲子園入りしたようだ。
「毎年、お目当ての選手に対してはみんなそうなんですが、この時期になると、もう調査らしい調査は終えています。3年生の夏はその最終確認みたいなもの。佐々木クンはパワーだけの選手ではないこともわかりました」(在京球団スタッフ)
各球団とも地域ごとに担当スカウトチームを置いている。他エリアの年長スカウトや部長クラスにお願いし、お目当ての選手を再チェックしてもらうのだ。担当スカウトとしての評価が過大評価になっていないか、また、見落としている部分はないかなど、他エリアの上位指名候補と比較して見てもらうという。
「部長クラスでいうと、中日の松永部長の他に、巨人は水野雄仁スカウト部長が視察していました。ドラフト部門のトップ役職者がくるということは、その球団の指名上位リストに入っているのは間違いありません」(前出・同)
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