慶応高「森林貴彦監督」“高校野球の嫌いなところ”で大反響…夏の甲子園の試合後に「本音」を聞いてみた!

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“Enjoy Baseball”の裏に確固たる理念

 慶応高校の野球部と言えば“Enjoy Baseball”という言葉が広く知られており、冒頭で触れた髪型についても、いまだに話題となることが多い。しかし、その裏に確固たる理念があることはあまり知られていない。

 慶応高校の野球部のホームページには、チーム紹介の中に「部訓」、「心得」、「コーチ心得」の3項目が紹介されている。部訓には“Enjoy Baseball”以外にも野球部として大事にしていること、心得には部員としての心構え、コーチ心得には指導者として重要にことが詳細にわたって記されており、何を目指して野球をやっているかということが伝わってくる。

 また、スタッフの紹介ページでは森林監督、赤松衡樹部長のメッセージも動画で掲載されている。部内のルールや決め事を設けているチームは多いが、ここまで詳細に外部に対して発信している高校の野球部は非常に珍しい。それだけ高校野球全体に対して目が向いている証拠とも言えるだろう。

 実際にプレーしている選手たちも、試合中は盛んに選手同士で指示を送りあい、良いプレーに対しては心から喜んでいる表情を見せていた。グラウンドでは「笑顔を見せるな」という求道者的な考え方も、もちろん否定されるものではないが、自分たちの理念に基づいて楽しんでいるプレーを見て、高校野球が良いものだと感じる人が多いはずだ。多様性が重視される時代だからこそ、高校野球はこうあるべきという一つの考え方だけでなく、慶応高校のように“確固たる理念”を持って取り組むチームが増えていくことを望みたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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