甲子園史上“最も壮絶な打撃戦”、智弁和歌山が13対12で帝京にサヨナラ勝ち…帝京時代の「杉谷拳士」「中村晃」も熱く燃えた!

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“ハンカチ世代”の活躍が社会現象に

 夏の甲子園では、時にはノーガードの華々しい打撃戦も見られるが、2時間27分の熱戦の中で次から次へとさまざまな人間ドラマが生まれ、“球史に残るスーパー打撃戦”としてファンに記憶されているのが、2006年の準々決勝、帝京対智弁和歌山である。【久保田龍雄/ライター】

 この年は、早稲田実の“ハンカチ王子”斎藤佑樹(元日本ハム)、駒大苫小牧のエース・田中将大(現・楽天)ら、“ハンカチ世代”のヒーローたちの活躍が社会現象にもなった。8月17日の大会12日目は、準々決勝で、ベスト4最後のイスをかけて、東西を代表する強打のチーム、帝京と智弁和歌山が激突した。

 先制したのは、智弁和歌山だった。2回、7番・馬場一平が帝京の先発右腕・高島祥平(元中日)から右越え3ラン。全国屈指の強豪を相手に「正攻法では勝てない」と、東東京大会で3試合6回2/3しか投げていない1年生の球威と度胸を買って先発させた帝京・前田三夫監督だったが、上位下位切れ目のない智弁打線には通じなかった。

 だが、打つことにかけては、帝京も負けていない。4回に3本の二塁打で2点を返し、1点差に追い上げた。

 ところが、その裏、2回途中からリリーフし、3回までゼロに抑えていた左腕・垣ケ原達也が馬場の2打席連続弾など2本塁打を献上し、7回にも3番・広井亮介に2ランを浴びてしまう。

 帝京も8回に5番・塩沢佑太が2ランを放ったが、中盤以降の5失点はあまりにも大きく、4対8の劣勢のまま最終回を迎えた。

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