コメンテーター・長嶋一茂の空気を読まない生き方 時折見せる真逆の一面に嫌われない原因

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 長嶋一茂(57)がMCの1人を務めるテレビ朝日の深夜バラエティ「出川一茂ホラン☆フシギの会」(金曜深夜0時20分)が、10月から火曜午後7時台に移動する。一茂は同局の「ザワつく!金曜日」(金曜午後6時50分)にも出演しているから、午後7時台のレギュラーが2本に。人気芸人並みだ。一茂は同局「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜午前8時)で金曜のコメンテーターも務めている。なぜ、引っ張りダコなのか?

「オレ、1桁でも無理なんだけど…」

「出川一茂ホラン☆フシギの会」は、特別な能力を持つ不思議な人をスタジオに招き、一茂と出川哲朗(59)、ホラン千秋(34)がトークを繰り広げる番組だ。

 2022年10月に始まったこの番組は今年4月、41年続いた「タモリ倶楽部」の後番組として金曜深夜0時20分の枠に移動した。だが、そこから僅か半年で午後7時台に昇格し、放送時間も30分から60分に倍増する。視聴率は個人1%台(世帯2%台)で「タモリ倶楽部」とほとんど変わらないから、将来性を買われての昇格だ。

 観てみると、確かに面白い。8月4日の放送回には、天才的な暗算能力を持つ東大大学院生の女性(24)が登場。3桁の足し算をスラスラと解いた。その姿を見た一茂は目を見張り、「オレ、1桁でも無理なんだけど……」と自虐的な発言を繰り返した。芸人と違ってウケ狙いではないところがいい。

 6月30日の放送回は不思議な人が登場せず、一茂が出川、ホランと3人で駄菓子を食べながら、子供時代を振り返った。一茂は東京・田園調布にある父親の長嶋茂雄氏(87)の邸宅から、駄菓子屋に通った日々を懐かしんだ。

 そして、駄菓子店通いの一番の目的が、その店の女の子に会いたいためだったと、頼まれてもいないのに打ち明けた。駄菓子を食べた一茂は終始ご機嫌だった。

 一茂の一番の魅力は、裏表も虚栄心もないところ。大抵の人は大人になるに連れ、他人に素顔を見せなくなるが、一茂は違う。あけっぴろげである。

 いい歳をした大人が内面をさらけ出すと、往々にして露悪的と捉えられがちだが、これも一茂には当てはまらない。育ちが良いからだ。ついでに言うと、金にも困ったことがない。なにしろ野球部員だった立教大時代は、母親の故・亜希子さんから月に100万円程度の小遣いを渡されていたというのだから。

 育ちがいいから天真爛漫。「ザワつく!金曜日」では番組から出題されたクイズに外れると、全身全霊で悔しがる。進行役の高橋茂雄(47)に八つ当たりすることも珍しくない。真顔で1から撮り直しを要求することも。こんな57歳の芸能人は見たことがない。

一貫して空気を読まない一茂

 だが、それが人気につながっている。世間の人は多くが空気を読む。芸能人だってそうだ。クイズで負けたって平静を装う。視聴者はそんな芸能人に飽きているのだろう。意外かも知れないが、一茂は空気を読まないという点ではビートたけし(76)に近い。

 出川も空気を読むのが苦手。ホランは空気を読むのが嫌いらしい。「ザワつく!金曜日」の高嶋ちさ子(54)と石原良純(61)は空気を読む人ではない。一茂と周囲はさしずめ“アンチ空気集団”。道理で5人は波長が合うわけだ。

 無論、一茂は「羽鳥慎一モーニングショー」でも空気を読まない。回転寿司チェーン店「スシロー」で撮影した醤油差しを舐める動画をめぐり、約6700万円の損害賠償請求訴訟を起こされた少年について、一茂は「まだ少年。更生できる余地も残さないといけないと思う」と庇った。6月9日の放送回だった。

 厳罰を望む声が多かったようだが、一茂はそれに抗った。「(スシローで)裏方さんみたいなことをやらせるのも1つの手じゃないかな」とも語った。

 SNS上にこれらの一茂発言に対する批判が多くあったものの、本人は気にしない。「僕のコメントに文句があるならいつでも来てください。僕が本当に問題あると理解したら謝ります」と、常々言っている。筆者の知人のコメンテーターはSNSで批判されるたびに気に病む。一茂のような人は少数派だ。

 発言は炎上することがあるものの、一茂自身はコメンテーターとして評判がいい。前身番組の「情報満載ライブショー モーニングバード!」のコメンテーターになってから12年。不評だったら、とっくに降ろされている。やはり裏表がないところが視聴者にウケるのだろう。

 たとえば日大アメフト部の寮から違法薬物が発見された後の今月4日、一茂は「関わった人は将来を棒に振ったと言ってもいい」とコメントした。そうなのかも知れないが、ここまではっきりと口にするコメンテーターは珍しい。

 さらに一茂はこう続けた。

「もちろん人生がなくなった訳ではないが、少なくとも就職はまともにできないだろう」(一茂)

 当事者たちの処分が決まる前に、彼らの就職問題に踏み込むコメンテーターも少数派に違いない。林真理子理事長(69)については「理事長としての器がなかった」とバッサリ。おそらく全コメンテーターの言葉の中で一番厳しかった。

 一茂は控え室に戻ってからオフレコでするような話を放送で口にする。だから、その言葉は耳に残る。ほかのコメンテーターとは異なる。

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