人違いで“ターゲットの父親”を刺殺…宮城「闇バイト」殺人事件の世にも奇妙な人間模様

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殺害を依頼した男も“被害者”だった

 完全な人違いによる殺人事件の詳細は、仙台地裁で開かれた公判で明らかになった。実行犯の森満(逮捕当時45)は、闇バイトとして毛利さん殺害を引き受け、実行していた。また、殺害を依頼したとして逮捕された岩見尭明(29)は、実際は毛利さんではなく、その40代息子Aの襲撃を依頼していた。両者を繋げたSNSの仲介者「闇バイトのリーダー」なる人物は、素性すら分かっていない。

 岩見は毛利さんの息子・Aと金銭トラブルを抱えていた。これに関して岩見は“被害者”だったようだ。

「2014年にAに金を騙し取られた。アコムなどに合計109万円借金をさせられた。バイトをして返済を続け、2018年に完済した。利息の支払いで総額300万円ほど払った」

 昨年10月に仙台地裁で開かれた岩見の裁判員裁判・被告人質問で、恨みの元凶となった出来事を岩見自身が語った。当時、毛利さんの息子・Aは岩見に対し、「謝礼を渡すので、お金を借りてほしい」などとウソを言って消費者金融から金を借りるよう持ちかけ、3回にわたり岩見から計109万円をだまし取っていたのだった。消費者金融への返済を続ける生活で、岩見は精神的に追い詰められていたという。

「騙されて1年経ったぐらいのときは、自殺も考えた。催促の電話が来たりしたんで。自殺まで考えるほど追い詰めたAに、いつか見てろよ、復讐してやるぞと思ってた。金を取り返したりとか、ボコボコにするとか、殺すこととか……。私以外にも騙し取られていたし、被害者がいっぱいいるし、地獄に落ちればいいと思ってた」(被告人質問での証言・以下同)

 最終的に、岩見がSNSの「闇バイトのリーダー」なるアカウントにAの襲撃を依頼したことで今回の事件が起きたわけだが、それ以前にも、みずからAのもとを訪れ、騙し取られたとされる金の回収を試みたこともあったという。だが、「2016年には知人とAを襲撃に行ったが、見破られたAに言いくるめられて終わった」と岩見は法廷で振り返る。

「憎しみが強くなったり弱くなったりしていたが、最終的に強くなった。その理由、一番はやっぱり自分が金を騙し取られていることだと思う」

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